今週行なわれている男子テニスツアーのATP500シリーズ「カタール・エクソンモービル・オープン」(2月17日~22日/カタール・ドーハ/ハードコート)に単複で出場している元世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)が、ダブルス初戦勝利後の記者会見に出席。その中で23歳の若き王者ヤニック・シナー(イタリア/同1位)のドーピング問題について言及し、テニス界の反ドーピングシステムに対する強い不快感を示した。
既報の通り昨年3月に端を発するシナーのドーピング問題については今年4月に最終審理が行なわれる予定だったが、この件は2月15日に急展開を迎え、世界反ドーピング機構(WADA)との示談によりシナーには3カ月間(2025年2月9日~5月4日)の出場停止処分が下されることが決まった。
しかしシモナ・ハレップ(ルーマニア/女子元1位)をはじめ過去にドーピング問題で非常に重い処分を受けてきた選手たちが多くいることから、今回の決定はテニス界で波紋を広げている。一連の報道を受け、20年9月にPTPA(プロテニスプレーヤー協会)を設立したジョコビッチも沈黙を破った。
今回のドーハをもって現役を引退するフェルナンド・ベルダスコ(スペイン/元7位)とのペアでダブルスに参戦し、アレクサンダー・バブリク/カレン・ハチャノフ(カザフスタン/ロシア)との初戦を6-1、6-1で勝利したジョコビッチは、試合後の会見でシナーのドーピング問題に対する一部の選手たちの所感を明かすとともに、自身の意見をこう述べた。
「それについてはロッカールームで数人の選手たちと話した。彼らのほとんどは、プロセス全体の進め方に満足しておらず、それが公平ではなかったと考えていた。(シナーへの)えこひいきがあったとも感じているようだった」
「トップ選手の場合、トップクラスの弁護士などとコンタクトを取れれば、裁定に影響を与えることができるように思える。シナーと(イガ・)シフィオンテク(女子2位)は無実であることは証明された。ただツアーに携わっているチームメンバーのミスや怠慢により、シナーが3カ月間の出場停止処分を受けるというのは僕にとっても、他の多くの選手にとっても奇妙に感じられることだ」
最後にジョコビッチは、今回の裁定を前例に今後も故意でないドーピング違反を犯した選手たちに軽い処分が適用されるかどうかが注目ポイントだと強調。現状のテニス界の反ドーピングシステムはすでに機能停止の状態に陥っており、それが大きな不公平をもたらしていると主張した。
「ハレップや(タラ・)ムーア(イギリス/女子228位)、あるいはあまり知られていない選手たちが何年もの間、事件の解決に苦労したり、長期間の出場停止処分を受けたりしたケースを我々は見てきた。今こそ何か行動を起こしてシステムの改革に取り組むべき時だと思う。今の構造では反ドーピングシステムがうまく機能しないのは明らかだからだ」
「近い将来、今回の事件がさらに注目を集め、下位の選手たちの事件に光が当てられるかどうかがわかるだろう。シナーとシフィオンテクが違反発覚当時は世界1位だったことを忘れてはならない」
いずれにせよ、シナーのドーピング問題はまだまだ尾を引きそうだ。
文●中村光佑
【画像】3時間半を超える大激闘…!全豪OP男子シングルス準々決勝ジョコビッチ対アルカラスを厳選ショットで特集!
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既報の通り昨年3月に端を発するシナーのドーピング問題については今年4月に最終審理が行なわれる予定だったが、この件は2月15日に急展開を迎え、世界反ドーピング機構(WADA)との示談によりシナーには3カ月間(2025年2月9日~5月4日)の出場停止処分が下されることが決まった。
しかしシモナ・ハレップ(ルーマニア/女子元1位)をはじめ過去にドーピング問題で非常に重い処分を受けてきた選手たちが多くいることから、今回の決定はテニス界で波紋を広げている。一連の報道を受け、20年9月にPTPA(プロテニスプレーヤー協会)を設立したジョコビッチも沈黙を破った。
今回のドーハをもって現役を引退するフェルナンド・ベルダスコ(スペイン/元7位)とのペアでダブルスに参戦し、アレクサンダー・バブリク/カレン・ハチャノフ(カザフスタン/ロシア)との初戦を6-1、6-1で勝利したジョコビッチは、試合後の会見でシナーのドーピング問題に対する一部の選手たちの所感を明かすとともに、自身の意見をこう述べた。
「それについてはロッカールームで数人の選手たちと話した。彼らのほとんどは、プロセス全体の進め方に満足しておらず、それが公平ではなかったと考えていた。(シナーへの)えこひいきがあったとも感じているようだった」
「トップ選手の場合、トップクラスの弁護士などとコンタクトを取れれば、裁定に影響を与えることができるように思える。シナーと(イガ・)シフィオンテク(女子2位)は無実であることは証明された。ただツアーに携わっているチームメンバーのミスや怠慢により、シナーが3カ月間の出場停止処分を受けるというのは僕にとっても、他の多くの選手にとっても奇妙に感じられることだ」
最後にジョコビッチは、今回の裁定を前例に今後も故意でないドーピング違反を犯した選手たちに軽い処分が適用されるかどうかが注目ポイントだと強調。現状のテニス界の反ドーピングシステムはすでに機能停止の状態に陥っており、それが大きな不公平をもたらしていると主張した。
「ハレップや(タラ・)ムーア(イギリス/女子228位)、あるいはあまり知られていない選手たちが何年もの間、事件の解決に苦労したり、長期間の出場停止処分を受けたりしたケースを我々は見てきた。今こそ何か行動を起こしてシステムの改革に取り組むべき時だと思う。今の構造では反ドーピングシステムがうまく機能しないのは明らかだからだ」
「近い将来、今回の事件がさらに注目を集め、下位の選手たちの事件に光が当てられるかどうかがわかるだろう。シナーとシフィオンテクが違反発覚当時は世界1位だったことを忘れてはならない」
いずれにせよ、シナーのドーピング問題はまだまだ尾を引きそうだ。
文●中村光佑
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