海外テニス

元全米女王ラドゥカヌへのストーカー問題で選手協会が警鐘!「潜在的な脅威に即座に対応できるメカニズムが必要」<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.02.22

試合会場で起きたラドゥカヌ(写真)へのストーカー行為では容疑者の出入り禁止措置が取られたが、プロテニス選手協会はさらなるセキュリティ強化の必要性を訴えた。(C)Getty Images

 テニスコートからふと客席に目を向けると、自身につきまとうストーカーが最前列に座ってこちらを見ている。恐怖を感じた22歳の元全米オープン覇者エマ・ラドゥカヌ(イギリス/世界ランキング61位)は、試合を投げ出しで審判台の裏に隠れて涙を流した。

 現在開催中の女子テニスツアー「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」(2月16日~22日/UAE・ドバイ/ハードコート/WTA1000)のシングルス2回戦で起きた事件。状況を理解した大会側はすぐに警備員によってストーカーを会場外に連れ出して試合を再開したが、ラドゥカヌはストレートで試合に敗れた。

 対戦相手だったカロリーナ・ムチョバ(チェコ/同17位)は、「彼女のサーブを打とうとしたら反対側にいないことに気付いたの。審判に確認して何が起きているのかを理解した。誰に対しても、どんな女性に対しても、どんな女の子に対しても、このようなことが起きるのを見たくない。だから私はただそこにいて、彼女を抱きしめて少しでも落ち着かせようとした」と振り返る。

 試合後、大会を統括するWTA(女子テニス連盟)は「ラドゥカヌは公共の場で執拗な行動を見せる男性に近づかれた。この同じ人物は試合会場の最前列で特定され、その後退場させられた。この人物は脅威評価が完了するまで、すべての WTA イベントへの出場を禁止する」と発表した。
 
 この大会側の判断に対して、元世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)が創設を主導したPTPA(プロテニス選手協会)がすぐに反応。ストーカーへの大会側の対応を称賛する一方で、このような状況は下位の大会では依然として大きな問題となっていることを強調し、主催者は選手の安全を確保するためにできる限りのことをしなければならないとした。

「世界中のテニス選手やプロスポーツ選手は、嫌がらせや虐待を恐れることなく、トレーニングや競技といった仕事に集中できなければならない。ドバイで起きた事件では素早く(ストーカーを)排除したが、これは蔓延する問題を浮き彫りにしている」と警鐘を鳴らす。

 そして「統括団体とトーナメント運営者は同様に、プレーヤーのセキュリティに警戒を怠らず、潜在的な脅威を即座に評価して対処するための適切なメカニズムが整備されていることを確認する必要がある」とさらなる危機管理の必要性を唱えた。

 ラドゥカヌはその後沈黙を破り、対戦相手のムチョバが示してくれたスポーツマンシップに感謝するとともに、「自身が安全にいられるようにしてくれた他の全ての人にも感謝したい」とコメントを出している。

構成●スマッシュ編集部

【動画】ラドゥカヌへのスト―カー事件を報じるニュース番組

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