テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。

　本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。

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　静岡県で社会人野球の部長として熱心に指導されているＳさんと久し振りに会った時の話です。指導者として選手たちに何を伝えればいいのか？　また選手はどんな気持ちで試合に臨めばいいのか？　という話題で盛り上がりました。現在プロ野球で活躍中の選手のエピソードも交え有意義な時間を過ごしました。

　私の方からは、「メンタル強化法」で掲載した「真・善・美の考え方」（第14回）や、「欲から入り、欲から離れる」（第29回）についての話題を提供しました。話が進むにつれ、選手に伝えたいことは「天国と地獄」というキーワードとなりました。

　その時、私が連想したのは「サボって地獄へ行くか、それとも地獄の特訓で天国へ行くか？　選択するのは君だ！」というフレーズが浮かびました。
  　それからしばらくして、彼から"１枚の絵と言葉の力"がメールで送られてきました。言葉の一部を紹介すると「地獄と天国を行き来し、どんな過酷な試練もクリアできるメンタルのタフさを身に付ける」とあり、絵の方は写真入りの豪華版でした。

　さて「天国と地獄」から連想すると幾つかの言葉が浮かんできます。結果から見ると「勝者と敗者」「称賛と批判」「満足と後悔」「喜びと悲しみ」...。

　いずれにしろ私たち人間は、夢を描く→自らプランを立てる→愚直にやり続ける→成功と失敗を繰り返す→再挑戦する。このループを一区切りつくまで懸命にやることで、次のステージが迎えられるのだと思っています。これは競技スポーツで勝利を目指す人であっても、生涯スポーツを楽しむ人であっても同じことだと思います。

　では、喜びの天国とはいったいどんなところだと思いますか？ 「空は青く澄み渡り、やさしい日差しが降り注ぎ、多くの仲間が笑っている。互いの努力をたたえ合い、次なる夢を語り合う、明るく楽しい語り場です」。そんな喜びの場所へ行くために、小さな努力を惜しまず、皆さんが楽しいテニスができることを願っています。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年３月号から抜粋・再編集

【画像】強靭なメンタルを持つトッププロたちの練習の様子

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