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海外テニス

「BNPパリバ・オープン」予選突破の綿貫陽介、本戦1回戦では元世界17位を撃破!躍進の陰にレジェンドコーチの存在あり<SMASH>

内田暁

2025.03.07

インディアンウェルズで初めて本戦出場を果たした綿貫陽介はセンターコートで元世界17位のバブリクをフルセットの末に破る金星を手にした(写真は2024年上海大会)。(C)Getty Images

インディアンウェルズで初めて本戦出場を果たした綿貫陽介はセンターコートで元世界17位のバブリクをフルセットの末に破る金星を手にした(写真は2024年上海大会)。(C)Getty Images

 大会開幕初日の、センターコート最終試合――。

 カミラ・オソリオ(コロンビア)が、大坂なおみから涙の勝利を得た余韻が残るコートに、綿貫陽介は客席に手を振りながら入場した。テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(3月5日~16日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)本戦出場が初ならば、もちろん、このセンターコートに立つのも初めて。

 予選を突破し、その翌日にセンターコートで試合があることを知った時は、「1日空いてほしかったし、やったことのないコートへの不安もあった」。ただほどなくして、「センターコートでできる喜びと、楽しみな気持ち」が勝っていったという。入場時に見せた晴れやかな笑顔は、その思いの表出だった。
 
 センターコートに残った観客の多くは、恐らくは綿貫の試合を初めて見る人々だったろう。ツアー4勝を誇るアレクサンダー・バブリク(世界ランキング82位/カザフスタン)の方が、プロテクトランキングで出場の予選突破者より、知名度が高いのも当然だ。

 だが試合が始まると、観客は綿貫のプレーに引き込まれていく。弾かれるようにスプリットステップを踏み、跳ねながらコートを駆け、乾いたインパクト音を轟かせ次々にウイナーを叩き込む。

 第1セットは、序盤の数少ないチャンスをモノにして6-3で奪取。第2セットは逆に相手より多くのブレークポイントがありながらも、取り切れずに3-6で失う。それでも、綿貫が放つポジティブな熱量に陰りはない。

 命運決する最終セットでは、チャンスボールを派手にミスし、恥ずかしそうにシャツで顔を覆って客席の笑いを誘う場面も。最後まで飛び跳ね、声弾ませ、ボールを激しく打ち抜き続けた綿貫が、第3セットも6-3のスコアで、殊勲の星をつかみ取った。
 
 試合後にはセンターコート恒例の、オンコートインタビューが行なわれる。

「世界で2番目に大きなテニス専用アリーナで戦った気分は?」と問われた勝者は、頬を紅潮させ、口角を上げて大きく息を吸い込むと、「僕は見る人たちに楽しんでもらえるテニスをしたい。みんなが楽しんでくれたなら、うれしい」と一気に語った。その言葉に呼応して、客席から湧き起こる歓声。恒例の“サインボール打ち込み”では、遠投で強肩を披露しさらにファンを沸かせる。26歳のニューフェースは、最後までコートに残った人々を喜ばせた。

 以前は、自分のミスに苛立ち崩れることもあった綿貫が、この日は――いや、予選の2試合も含め、コート上で明るいオーラをまとっている。それは現在、新コーチと共に取り組んでいるテーマでもあると、綿貫が笑顔で明かした。

 そのコーチとは、ウェイン・フェレイラ(南アフリカ/53歳)。現役時代はシングルス6位、ダブルス9位を記録し、コーチとしてはフランシス・ティアフォー(アメリカ)をトップ10に引き上げた手腕で知られる。
 
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