今を遡ること、2年――。マイアミ・オープンで実現したフランシス・ティアフォーとの対戦は、綿貫陽介にとって、1つの「指標」になったという。
当時の綿貫は世界の123位。その2カ月前の全豪オープンでグランドスラム(テニスの四大大会)初出場を遂げ、初勝利も手にしたばかり。ATPツアーレベルに足を踏み入れ、トップ100も視野に捉えた中で相対したのが、当時世界14位のティアフォーだった。
「僕にとって、すごく大きな経験でした」と、綿貫は7-6(5)、6-7(3)、4-6で惜敗した一戦を振り返る。
「彼はナイスガイですし、僕が初めて対戦したトップ30の選手でした。初めてATPマスターズの予選上がって、本戦1回戦も勝って、色んな経験をしたタイミングでもあったんです。その後も1年間通してトップの選手と当たることが増えた時に、彼との試合が1つの基準になりました。
本当にみんな、テニスがうまいんですよ。だからベースラインでストローク勝負しようと思った時、リスクを取らなきゃいけないっていうのは、すごくあの試合で感じた。その意味でも1つの指標になった試合だったので、すごく覚えてます」
同時に、当時の綿貫にとってあの熱戦は、対戦相手のみならず、観客との双方向性をも感得しながらプレーした、"パフォーマー"としての原初的体験でもあった。
「すっげぇアウェーだったんです。コートに入った時、僕に拍手してくれる人は本当に3人くらい。ティアフォーが入った時には、ワーッと盛り上がって。『アウェーだぁ』と思ったんですが、僕はアウェーは好きでもある。だんだん、少しずつお客さんが僕を応援してくれるようになる楽しみ...、アメリカでのアウェーの楽しみを見つけられた試合でもあったので、すごく思いは強いです」
加えてこの一戦は、新たな出会いの契機ともなった。
今大会から綿貫のコーチングボックスに座るウェイン・フェレイラ(南アフリカ/53歳)は、2年前のティアフォーのコーチ。マイアミでの対戦を機にティアフォーとの親交が生まれた綿貫は、ティアフォーに接するフェレイラの姿を見て、「すごく良さそうなコーチだな」と感じたという。
そこで、フェレイラがティアフォーの後に就いたジャック・ドレイパーとの契約も終了したと知り、伝手を頼って自らオファー。今回のBNPパリバ・オープンの直前に見てもらったばかりだが、早くも「たくさん教えてもらっている」と綿貫は言った。
その新コーチとの化学反応を発揮して、今大会で綿貫は予選2試合で快勝し、本戦でも3回戦へと勝ち進んでいる。そうして向かう次なるステージで、彼を待つのがティアフォー。その運命的な再戦を控え、綿貫はこう語った。
「ティアフォーの元コーチと今は僕がやってるし、今朝(お互いの2回戦前)も彼とちょうど、『3回戦でやろう』と話しました。僕にとっては楽しみでしかないですし、リベンジのチャンスでもありますし。何より本当に僕にとっては、失うものがない。ランキングを戻してきている中で、色んなチャレンジができる。少しでも、良いステップになればなと思っています」
2023年10月に72位の最高位に達した、その起点とも言える相手と戦える場に、綿貫は戻ってきた。現地時間3月9日に行われる一戦は、世界で2番目に大きいテニス専用アリーナの、ナイトセッションに組まれている。"お祭り男"を自認する綿貫にとって、これ以上にない大舞台が用意された。
現地取材・文●内田暁
【動画】綿貫陽介vsマハーチュの「BNPパリバOP」2回戦ハイライト
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当時の綿貫は世界の123位。その2カ月前の全豪オープンでグランドスラム(テニスの四大大会)初出場を遂げ、初勝利も手にしたばかり。ATPツアーレベルに足を踏み入れ、トップ100も視野に捉えた中で相対したのが、当時世界14位のティアフォーだった。
「僕にとって、すごく大きな経験でした」と、綿貫は7-6(5)、6-7(3)、4-6で惜敗した一戦を振り返る。
「彼はナイスガイですし、僕が初めて対戦したトップ30の選手でした。初めてATPマスターズの予選上がって、本戦1回戦も勝って、色んな経験をしたタイミングでもあったんです。その後も1年間通してトップの選手と当たることが増えた時に、彼との試合が1つの基準になりました。
本当にみんな、テニスがうまいんですよ。だからベースラインでストローク勝負しようと思った時、リスクを取らなきゃいけないっていうのは、すごくあの試合で感じた。その意味でも1つの指標になった試合だったので、すごく覚えてます」
同時に、当時の綿貫にとってあの熱戦は、対戦相手のみならず、観客との双方向性をも感得しながらプレーした、"パフォーマー"としての原初的体験でもあった。
「すっげぇアウェーだったんです。コートに入った時、僕に拍手してくれる人は本当に3人くらい。ティアフォーが入った時には、ワーッと盛り上がって。『アウェーだぁ』と思ったんですが、僕はアウェーは好きでもある。だんだん、少しずつお客さんが僕を応援してくれるようになる楽しみ...、アメリカでのアウェーの楽しみを見つけられた試合でもあったので、すごく思いは強いです」
加えてこの一戦は、新たな出会いの契機ともなった。
今大会から綿貫のコーチングボックスに座るウェイン・フェレイラ(南アフリカ/53歳)は、2年前のティアフォーのコーチ。マイアミでの対戦を機にティアフォーとの親交が生まれた綿貫は、ティアフォーに接するフェレイラの姿を見て、「すごく良さそうなコーチだな」と感じたという。
そこで、フェレイラがティアフォーの後に就いたジャック・ドレイパーとの契約も終了したと知り、伝手を頼って自らオファー。今回のBNPパリバ・オープンの直前に見てもらったばかりだが、早くも「たくさん教えてもらっている」と綿貫は言った。
その新コーチとの化学反応を発揮して、今大会で綿貫は予選2試合で快勝し、本戦でも3回戦へと勝ち進んでいる。そうして向かう次なるステージで、彼を待つのがティアフォー。その運命的な再戦を控え、綿貫はこう語った。
「ティアフォーの元コーチと今は僕がやってるし、今朝(お互いの2回戦前)も彼とちょうど、『3回戦でやろう』と話しました。僕にとっては楽しみでしかないですし、リベンジのチャンスでもありますし。何より本当に僕にとっては、失うものがない。ランキングを戻してきている中で、色んなチャレンジができる。少しでも、良いステップになればなと思っています」
2023年10月に72位の最高位に達した、その起点とも言える相手と戦える場に、綿貫は戻ってきた。現地時間3月9日に行われる一戦は、世界で2番目に大きいテニス専用アリーナの、ナイトセッションに組まれている。"お祭り男"を自認する綿貫にとって、これ以上にない大舞台が用意された。
現地取材・文●内田暁
【動画】綿貫陽介vsマハーチュの「BNPパリバOP」2回戦ハイライト
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