男子テニス元世界ランク1位のダニール・メドベージェフ(ロシア/現8位)が中東メディア『The National News』のインタビューに回答。その中でサプリメントの摂取によるドーピング違反のリスクに対し、多大な恐怖心を抱いていると明かした。
過酷なツアー生活を送る上では「サプリメントがないと死んでしまう」とまで言い切るメドベージェフだが、長期の出場停止処分を科されることもあるドーピング違反を避けるために、何かと気を使わなければならない現状をこう嘆く。
「誰かが30種類のサプリメントを飲んでいたとしても驚かないし、13種類でも驚かない。むしろ、トップ選手がサプリメントの申告書に4種類しか書かない方がびっくりするよ。ただ今の状況を考えると、ドーピング違反のリスクが心配なんだ。パラノイア(不安や恐怖の影響を強く受け、他人が常に自分を批判しているという妄想)、もしくは『恐怖』と表現するのが正しいのかな。何を摂取しても、それが汚染されているかどうか、実際にはわからない」
「プロテインだってみんな摂取しているし、クレアチンやBCAA(共にアミノ酸の一種)、オメガ3(必須脂肪酸の一種)なども普通のことで、それらは健康維持に役立つ基本的なサプリメントだ。だがそれがどこで製造されているのかは僕にはわからない。もし製造過程でミスがあれば、それが誰かの人生を壊す可能性もある。普通の人なら気にしないかもしれないが、僕たちの場合は大きな問題になる。だからすごくストレスを感じるよ」
スペインメディア『Punto de Break』によれば、ドーピング違反への恐怖心を抱いているのはメドベージェフだけではない。現女王のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)も以前、ヤニック・シナー(イタリア/男子1位)とイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子2位)のドーピング問題を受けて次のように語っていたという。
「もし誰かが使ったクリームが自分の肌に付着して、それでドーピング検査に引っかかったら、自分が追及されてしまう。そういうことが頭をよぎるから、反ドーピングシステムに対して異常なほど恐怖を感じるし、イガやヤニックのケースを踏まえると、何を信じればいいのかわからない。私は彼らが意図的に違反したとは思っていないけど、それでも自分の周りの全ての物に対して本当に慎重にならなければならないと感じる」
事実、元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)も試合中にチームメンバーが周囲の目を避けるようにして調合したドリンクを摂取したことがきっかけで、ドーピング違反の疑いをかけられたことがある。そうした背景からジョコビッチは昨年1月に自身のサプリメントブランド『SILA』を立ち上げた。
確かにドーピング違反はあってはならないことだが、そのリスクに対する恐怖や不安も無視できない問題となりつつある。透明性のある反ドーピングシステムの構築と、選手たちがストレスなく競技に集中できる環境づくりの両立が今後の課題となるだろう。
文●中村光佑
【画像】2024全豪オープン決勝、3時間44分にも及んだシナー対メドベージェフの熱戦を厳選ショットでプレイバック!
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「プロテインだってみんな摂取しているし、クレアチンやBCAA(共にアミノ酸の一種)、オメガ3(必須脂肪酸の一種)なども普通のことで、それらは健康維持に役立つ基本的なサプリメントだ。だがそれがどこで製造されているのかは僕にはわからない。もし製造過程でミスがあれば、それが誰かの人生を壊す可能性もある。普通の人なら気にしないかもしれないが、僕たちの場合は大きな問題になる。だからすごくストレスを感じるよ」
スペインメディア『Punto de Break』によれば、ドーピング違反への恐怖心を抱いているのはメドベージェフだけではない。現女王のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)も以前、ヤニック・シナー(イタリア/男子1位)とイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子2位)のドーピング問題を受けて次のように語っていたという。
「もし誰かが使ったクリームが自分の肌に付着して、それでドーピング検査に引っかかったら、自分が追及されてしまう。そういうことが頭をよぎるから、反ドーピングシステムに対して異常なほど恐怖を感じるし、イガやヤニックのケースを踏まえると、何を信じればいいのかわからない。私は彼らが意図的に違反したとは思っていないけど、それでも自分の周りの全ての物に対して本当に慎重にならなければならないと感じる」
事実、元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)も試合中にチームメンバーが周囲の目を避けるようにして調合したドリンクを摂取したことがきっかけで、ドーピング違反の疑いをかけられたことがある。そうした背景からジョコビッチは昨年1月に自身のサプリメントブランド『SILA』を立ち上げた。
確かにドーピング違反はあってはならないことだが、そのリスクに対する恐怖や不安も無視できない問題となりつつある。透明性のある反ドーピングシステムの構築と、選手たちがストレスなく競技に集中できる環境づくりの両立が今後の課題となるだろう。
文●中村光佑
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