強力なストロークや巧みなドロップショットを武器にファンを魅了し、まだ21歳にしてすでに四大大会のシングルスで4度の優勝を誇る世界ランク3位のカルロス・アルカラス(スペイン)。しかし今季の彼は好不調の波が激しく、やや物足りない結果が続いている。
2月の「ABNアムロ選手権」(ATP500)こそ制したものの、続く「カタール・オープン」(ATP500)はベスト8止まり。その後も3月初めの「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)で準決勝敗退、先日の「マイアミ・オープン」(ATP1000)では初戦(2回戦)敗退を喫し、これまで計3度優勝している早春の北米マスターズ2連戦でも、今年はタイトルを獲得できなかった。
それでも今週出場しているマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月6日~13日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート)では、失セット数を2に抑えて決勝へ進出。現地13日に予定されている決勝では、同大会初優勝とツアー18勝目を懸けて第13シードのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同16位)と対戦する。
モンテカルロ開幕前の会見では、同年代の世界王者ヤニック・シナー(イタリア)がドーピング違反による約3カ月間の出場停止処分を科されてから自身の世界1位復帰を期待する声が予想以上に大きくなり、それが「大きなプレッシャーになっていた」と告白していたアルカラス。一方で試合に負けると何かと批判してくる人々に対しては「今は多くの選手が良いテニスをしているから、そういう声は不公平だと思う」と反論していた。
このアルカラスの意見に賛同したのが、2003年の全米オープンで四大大会初優勝を経験した元世界1位のアンディ・ロディック氏(アメリカ)だ。先日海外テニス専門チャンネル『Tennis Channel』に出演した同氏も、現在の男子ツアーは“ビッグ3”(ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ)の時代を経て、現在は群雄割拠になっているとし、1人の選手に過度な期待を寄せることは禁物だと主張する。
「ビッグ3が登場する前の時代を思い出してほしい。同じ選手が毎週のように決勝に進出するような“狂った時代”ではなかった。正直なところ、我々は期待値をリセットする必要がある。ポール・アナコーン(アメリカ)の元教え子の1人で、四大大会を14度制し、年間1位を6度獲得した偉大なピート・サンプラス(アメリカ)でさえ、毎年四大大会を3回優勝していたわけではない。1年に2回だけの年だって普通にあった上に、3回戦で負けることもあった」
さらにロディック氏は若くして凄まじい功績を残しているアルカラスを称賛しつつ、こう続けた。「彼はすでにアンディ・マリー(イギリス)より多く四大大会を制しているし、優勝回数も共に8勝したジミー・コナーズ(アメリカ)とアンドレ・アガシ(アメリカ)の半数だ。彼がやってきたことはとんでもないこと。それに彼に対してコーチを変えるべきだなんて言っている人は、コーチングのことを何もわかっていないと思う」
群雄割拠の時代だからこそ、様々な選手の成長を楽しむべきだ――。今回の発言にはそんなロディック氏なりのメッセージが込められている。
文●中村光佑
【動画】アルカラスが決勝進出を決めた「モンテカルロ・マスターズ」準決賞ハイライト
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それでも今週出場しているマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月6日~13日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート)では、失セット数を2に抑えて決勝へ進出。現地13日に予定されている決勝では、同大会初優勝とツアー18勝目を懸けて第13シードのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同16位)と対戦する。
モンテカルロ開幕前の会見では、同年代の世界王者ヤニック・シナー(イタリア)がドーピング違反による約3カ月間の出場停止処分を科されてから自身の世界1位復帰を期待する声が予想以上に大きくなり、それが「大きなプレッシャーになっていた」と告白していたアルカラス。一方で試合に負けると何かと批判してくる人々に対しては「今は多くの選手が良いテニスをしているから、そういう声は不公平だと思う」と反論していた。
このアルカラスの意見に賛同したのが、2003年の全米オープンで四大大会初優勝を経験した元世界1位のアンディ・ロディック氏(アメリカ)だ。先日海外テニス専門チャンネル『Tennis Channel』に出演した同氏も、現在の男子ツアーは“ビッグ3”(ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ)の時代を経て、現在は群雄割拠になっているとし、1人の選手に過度な期待を寄せることは禁物だと主張する。
「ビッグ3が登場する前の時代を思い出してほしい。同じ選手が毎週のように決勝に進出するような“狂った時代”ではなかった。正直なところ、我々は期待値をリセットする必要がある。ポール・アナコーン(アメリカ)の元教え子の1人で、四大大会を14度制し、年間1位を6度獲得した偉大なピート・サンプラス(アメリカ)でさえ、毎年四大大会を3回優勝していたわけではない。1年に2回だけの年だって普通にあった上に、3回戦で負けることもあった」
さらにロディック氏は若くして凄まじい功績を残しているアルカラスを称賛しつつ、こう続けた。「彼はすでにアンディ・マリー(イギリス)より多く四大大会を制しているし、優勝回数も共に8勝したジミー・コナーズ(アメリカ)とアンドレ・アガシ(アメリカ)の半数だ。彼がやってきたことはとんでもないこと。それに彼に対してコーチを変えるべきだなんて言っている人は、コーチングのことを何もわかっていないと思う」
群雄割拠の時代だからこそ、様々な選手の成長を楽しむべきだ――。今回の発言にはそんなロディック氏なりのメッセージが込められている。
文●中村光佑
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