専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

3度不在だと出場停止!厳格すぎる反ドーピング規則にルブレフが恐怖心を吐露「常にストレスを抱えて生きることになる」<SMASH>

中村光佑

2025.04.22

ルブレフは世界反ドーピング機関の「居場所情報プログラム」に大きなストレスを抱えていると言う。(C)Getty Images

ルブレフは世界反ドーピング機関の「居場所情報プログラム」に大きなストレスを抱えていると言う。(C)Getty Images

 間もなく開幕する男子テニスツアーのマスターズ1000シリーズ「ムチュア・マドリード・オープン」(4月23日~5月4日/スペイン・マドリード/クレーコート)に第7シードで出場する元世界ランキング5位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア/現8位)が現地21日に開かれた記者会見に出席。その中で厳格すぎる反ドーピング規則に対する多大な恐怖心を抱いていると明かした。

 中でもルブレフは、テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」が運営する世界反ドーピング機関(WADA)の「居場所情報プログラム」を非常に恐れている様子だ。同プログラムにより当局は選手に対していつでも無作為な検査を実施でき、正当な理由なく指定した検査場所にいないという事態が12カ月以内に3度発生した場合、その選手は資格停止処分を受ける可能性がある。

 元世界33位のジェンソン・ブルックスビー(アメリカ/現163位)が上記の規定を破ったことにより、2023年10月から25年1月4日までの18カ月にわたる出場停止処分を受けた(後に処分は13カ月に軽減、24年3月3日に終了)ことは既報の通り。ブルックスビーのケースを踏まえて「その規定が怖い」と率直に明かしたルブレフは、WADAの居場所情報プログラムに対して大きなストレスを抱えているとも告白した。

「そのプログラムによって、一日のどの時間にどこにいるのかをスケジュールに書き込まないといけない。もし検査を忘れたり、予定した場所にいなかったりしたら、それで3回のうちの1回としてカウントされてしまう。そんなの不公平だと思うし、常にストレスを抱えて生きることになる。実は昨日、マドリードに来ることに伴うスケジュール更新を忘れていたんだ。運良く大事には至らなかったけどね」
 
 以前から反ドーピング規則に対して「厳格すぎるし、もう少しわかりやすいルールにすべき」と懸念を示していたルブレフは、禁止物質が混入している可能性を恐れて薬や食品の摂取にも慎重になっていると言う。直近では昨年終盤に元世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現2位)が、時差ボケ対策の薬を服用した結果、禁止物質トリメタジジン(TMZ)が検出され、一時的に出場停止となった(24年9月12日~10月4日)事例がある。

 先月には元世界王者のダニール・メドベージェフ(現10位)がサプリメントの摂取によるドーピング違反のリスクを心配していたが、ルブレフもほぼ同様の考えを示す。

「年々、薬を飲むのが怖くなってきている。具合が悪くても何も飲まないようにしているんだ。僕は幸運にも医師に相談できる環境があるけど、全員がそうとは限らない。食品にも疑いの目を向けざるを得なくて、例えば肉にも禁止物質が含まれていることがある。気が狂いそうになるよ」

 過度に厳格な規則が選手の健康や精神状態に影を落としているとすれば本末転倒である。確かにドーピング違反はあってはならないことだが、より現実的で柔軟性のある制度設計を検討する段階に来ているのかもしれない。

文●中村光佑

【画像】ルブレフはじめ、全仏オープン2024で奮闘する男子選手たちをピックアップ

【関連記事】世界9位ルブレフが元世界王者サフィンとのタッグに好感触!「彼は冷静さを与えてくれる」<SMASH>

【関連記事】「この13カ月はとても疲れ果てた」新証拠によりブルックスビーのドーピング処分が軽減されテニス界復帰へ<SMASH> 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号