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21歳の新星の快挙か、元1位が低迷を脱出して優勝か? 女子決勝前に知っておきたいこと【全豪オープン女子決勝プレビュー】

酒井朋子

2020.02.01

グランドスラム初優勝がかかっている21歳のケニン(左)。元1位のムグルサにとっても全豪決勝は初めて(右)。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 新女王の誕生か、元女王の復活か――。

 2020年の全豪オープンテニス女子決勝は、21歳で初めてグランドスラム決勝進出を果たしたソフィア・ケニン(アメリカ/15位)と、元世界ナンバー1で、2016年全仏オープン、2017年ウインブルドンで優勝経験のある26歳ガルビネ・ムグルサ(スペイン/32位)との顔合わせとなった。

 21歳80日のケニンは、2008年に20歳82日で決勝進出したアナ・イバノビッチ以来の若い全豪オープン決勝進出者となった。ちなみに昨年の全豪オープンでは、大坂なおみが21歳102日でタイトルを手にしている。

 ナンバー1の入れ替わりの激しい女子テニス界では、グランドスラム優勝者の顔ぶれも多様だ。過去11回のグランドスラムを振り返ると、そのうち7大会が初優勝者となっている。今回もケニンが優勝すれば、初のグランドスラム優勝者となる。

 ケニンは、準決勝でランキング1位のアシュリー・バーティーを下す大金星を挙げた。ドロップショットで相手を走らせロブでポイントを決めるなど、バーティー相手に多彩なショットと巧みな戦術でポイントを重ねていったケニン。バーティーのスライスにも動じることなく、初めての準決勝進出とは思えないほどの落ち着き払った戦いぶりを見せた。
 
 一方、ムグルサは、2017年にランキング1位の座に就いたこともある実力者だ。だが、2019年はウインブルドンと全米オープンで1回戦敗退。7月以降は1勝6敗とスランプに陥っていた。その長いトンネルを抜けて、今大会は準決勝でランキング3位のシモナ・ハレップとの熱戦を制し決勝進出を決めた。

 ケニンとムグルサの過去の対戦は昨年9月にハードコートで行なわれた北京の大会で1度だけ。その対戦ではケニンが6-0、2-6、 6-2で勝利している。

 ストレートで攻めてチャンスを作り、ネットへ詰めてポイントを決める、理詰めのテニスで決勝まで勝ち上がってきたムグルサと、若いながらもボールに緩急をつけて相手を揺さぶる試合巧者のケニン、勝利の女神はどちらに微笑むのか。まもなく決戦の時が来る。

文●酒井朋子

【PHOTO】ケニン、ムグルサを含むトップ選手の全豪オープンで躍動する姿