四大大会のシングルスで2度の優勝を経験した女子テニス元世界ランキング1位のトレイシー・オースチン氏(アメリカ/62歳)が、先日行なわれた四大大会「全仏オープン」で準優勝に終わった現女王アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/世界ランク1位)の決勝戦でのプレーを酷評した。
27歳で世界1位につけるサバレンカは今大会に第1シードとして参戦。1回戦から準々決勝まで全てストレート勝ちを収めると、準決勝では全仏4連覇が懸かっていたイガ・シフィオンテク(ポーランド/同5位)をフルセットで撃破し、初の決勝へと駒を進めていた。
現地6月7日に実施された決勝はココ・ガウフ(アメリカ/同2位)との頂上決戦に。第1セットを7-6(5)で先取したサバレンカだったが、その後はガウフの粘り強いプレーに苦戦し、第2セットを2-6、第3セットを4-6で落として無念の逆転負け。あと一歩のところで四大大会4勝目を逃した。
サバレンカと言えば182センチの長身から繰り出される力強いストロークを武器とした攻撃力が売りの選手だ。しかしそれを考慮してもガウフ戦でのサバレンカは我慢強さがなかったと、オースチン氏は厳しい評価を下す。海外テニス専門チャンネル『Tennis Channel』の試合後分析で同氏は次のように語った。
「正直、世界1位の選手が、10球もラリーを続けようとしない姿勢を見せたことには本当にショックを受けた。クレーではパワーが拡散される。とはいえサバレンカが最もパワフルな選手の1人であり、シフィオンテクと肩を並べるほどスピードのある選手であることも誰もが知っているわ」
「ただ、ガウフはとにかくボールを返してくる。フォアハンドのスライスや、高い軌道のショットを使いつつ、75%程度の力で打つつなぎのラリーに持ち込んで、サバレンカのミスを引き出すという明確な戦術だった」
「一方のサバレンカは、ボールをしっかり返して立て直す姿勢がなく、クロスからダウンザラインに方向転換するリスクの高いショットを早い段階で狙いすぎていた。1から10で評価すれば、常に9か10の力でショットを打っていた。仮にバランスを崩した状態で打つなら、もっと力を抑えて6か7まで落とし、ポイントを構築してからチャンスを狙うべき」
ちなみに決勝当日は非常に風の強いコンディションで、対応に手を焼いたサバレンカはアンフォーストエラーの本数がガウフの30本に対して70本と、本来のプレーを発揮できないまま敗戦。オースチン氏はサバレンカが自分自身で解決策を見出そうとせずに陣営を何回も見ていたことに苦言を呈し、これまでの経験則から状況に応じたプレーをすべきだったと主張した。
「私はサバレンカが強風に苦労していた時に何度も何度も陣営を見ていたことにも驚いた。彼女はジュニアの頃から今日みたいなコンディションでプレーしてきたはず。風が吹いているのは相手も自分も同じだから、足をもっと使って、落ち着きを見せて、風を考慮して安全に打てる範囲を把握するべきだった」
オースチン氏の“喝”はサバレンカへの期待の表れだと言える。あとはサバレンカ自身が今回の敗戦をどう生かすかが、女王に君臨し続けるためのカギとなるだろう。
文●中村光佑
【動画】サバレンカ対ガウフの2025全仏オープン決勝ハイライト
【画像】サバレンカはじめ、2025全仏オープンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】「相手がシフィオンテクだったら負けていた」サバレンカの無礼な発言にガウフが反論。「誰と対戦しても勝つチャンスはある」<SMASH>
27歳で世界1位につけるサバレンカは今大会に第1シードとして参戦。1回戦から準々決勝まで全てストレート勝ちを収めると、準決勝では全仏4連覇が懸かっていたイガ・シフィオンテク(ポーランド/同5位)をフルセットで撃破し、初の決勝へと駒を進めていた。
現地6月7日に実施された決勝はココ・ガウフ(アメリカ/同2位)との頂上決戦に。第1セットを7-6(5)で先取したサバレンカだったが、その後はガウフの粘り強いプレーに苦戦し、第2セットを2-6、第3セットを4-6で落として無念の逆転負け。あと一歩のところで四大大会4勝目を逃した。
サバレンカと言えば182センチの長身から繰り出される力強いストロークを武器とした攻撃力が売りの選手だ。しかしそれを考慮してもガウフ戦でのサバレンカは我慢強さがなかったと、オースチン氏は厳しい評価を下す。海外テニス専門チャンネル『Tennis Channel』の試合後分析で同氏は次のように語った。
「正直、世界1位の選手が、10球もラリーを続けようとしない姿勢を見せたことには本当にショックを受けた。クレーではパワーが拡散される。とはいえサバレンカが最もパワフルな選手の1人であり、シフィオンテクと肩を並べるほどスピードのある選手であることも誰もが知っているわ」
「ただ、ガウフはとにかくボールを返してくる。フォアハンドのスライスや、高い軌道のショットを使いつつ、75%程度の力で打つつなぎのラリーに持ち込んで、サバレンカのミスを引き出すという明確な戦術だった」
「一方のサバレンカは、ボールをしっかり返して立て直す姿勢がなく、クロスからダウンザラインに方向転換するリスクの高いショットを早い段階で狙いすぎていた。1から10で評価すれば、常に9か10の力でショットを打っていた。仮にバランスを崩した状態で打つなら、もっと力を抑えて6か7まで落とし、ポイントを構築してからチャンスを狙うべき」
ちなみに決勝当日は非常に風の強いコンディションで、対応に手を焼いたサバレンカはアンフォーストエラーの本数がガウフの30本に対して70本と、本来のプレーを発揮できないまま敗戦。オースチン氏はサバレンカが自分自身で解決策を見出そうとせずに陣営を何回も見ていたことに苦言を呈し、これまでの経験則から状況に応じたプレーをすべきだったと主張した。
「私はサバレンカが強風に苦労していた時に何度も何度も陣営を見ていたことにも驚いた。彼女はジュニアの頃から今日みたいなコンディションでプレーしてきたはず。風が吹いているのは相手も自分も同じだから、足をもっと使って、落ち着きを見せて、風を考慮して安全に打てる範囲を把握するべきだった」
オースチン氏の“喝”はサバレンカへの期待の表れだと言える。あとはサバレンカ自身が今回の敗戦をどう生かすかが、女王に君臨し続けるためのカギとなるだろう。
文●中村光佑
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