アリーナ・サバレンカ（ベラルーシ）は現在、女子テニスのシングルスランキング１位に君臨し、これまでに３つの四大大会タイトルを手にしてきた名プレーヤーだ。現在開催中の「全仏オープン」（フランス／パリ）でも第１シードとして盤石のテニスを披露し、４回戦までコマを進めている。

　そのサバレンカが５月30日、オルガ・ダニロビッチ（セルビア／34位）にストレート勝ちした３回戦後の記者会見で、過去の自身のコーチに向けて猛烈な批判を展開した。

「私は彼らに色々言われてきました。『頭が悪い』『バカだ』とか『絶対に成功できない』『トップに立つための資質がない』とか」。まさにパワハラ、モラハラに該当する誹謗中傷のオンパレードだ。

　サバレンカはコーチの名は明かさなかったが、現在指導を受けているアントン・ドゥブロフ氏のことではもちろんない。彼がコーチに就任後、着実に成長を重ねたサバレンカはランク１位や四大大会優勝を成し遂げ、２人の関係は非常にうまくいっている。サバレンカが糾弾しているのは、彼女がまだ伸び悩んでいた頃のコーチで、今思い返すと理不尽で致し方ないのだろう。
  「私はいつもモチベーションが高かったから、厳しく追い込む必要はなかったのに」とサバレンカは振り返る。そんな時でも彼女は怒りをグッと抑え、「私はただ笑って『どうなるか見てみましょう』と言っていた」のだそうだ。

　そうして押しも押されもせぬ世界女王となったサバレンカが、今この話を持ち出したのは、単なる腹いせのためではない。

「彼らにコーチの仕事を辞めろというメッセージを送りたいんです。正直、彼らは何もわかっていないし、他の選手を救うためにも辞めた方がいいと思います」

　今後、自分のようなつらい思いをする選手が出てきてほしくないという願いから、サバレンカは強い言葉で非難したのだろう。前述のようにそのコーチが誰かはわからない。はたして本人は、自分がトップに立てないと断じた選手が今こうして成功していることを、どんな思いで見ているのだろう。

構成●スマッシュ編集部

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