先日行なわれたテニス四大大会「全仏オープン」の女子シングルスで準優勝に終わった世界ランキング1位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/27歳)。彼女は決勝で敗れたココ・ガウフ(アメリカ/同2位)の優勝に水を差す発言をし、SNSでも批判の的となった。
準決勝で大会3連覇中だったイガ・シフィオンテク(ポーランド/同5位)を破っていたサバレンカは、決勝戦後の記者会見で次のようにコメントしていた。
「彼女(ガウフ)が素晴らしいプレーをしたから私が負けたのではなく、私が多くのミスを犯したから負けた。今までで最悪の決勝戦だったわ。仮に決勝に進出したのが私ではなくイガ(シフィオンテク)だったら、優勝していたのはイガだったでしょう」
これに対しガウフは自身の会見で「彼女(サバレンカ)の意見には同意できない。イガに悪意はないけれど、前回対戦した時には私がイガにストレートで勝ったわ。彼女の発言はフェアじゃないと思う」と反論。さらに「誰と対戦しても勝つチャンスはあったと思う。それくらいの信念を持って臨んでいたわ」とのコメントも残していた。
勝者を素直に称えず、多くの批判を浴びたサバレンカ。しかし女子元世界9位で2022年に現役を退いたアンドレア・ペトコビッチ氏(ドイツ/37歳)は、サバレンカの攻撃的なプレースタイルを考慮すると同情できる部分もあるとの考えを示す。先日コンテンツ配信プラットフォーム『Substack』にニュースレターを投稿した同氏はこう綴っている。
「私が若くて細くて、動きはまだ良くなかったものの同世代の選手の中ではすでにかなりパワーがあった頃、他のジュニア選手たちよりは多くのウイナーを決めていた。だから私もサバレンカと同じような考え方をしていた。ウイナーを決めた時だけ、自分は正しいことをしたと思っていた」
サバレンカのように、「ウイナーを決めることこそ価値がある」と考える選手は、相手のミスを誘うような地道なプレーや、粘り型・守備型(通称プッシャー)の選手を無意識に軽視しがちだという。ペトコビッチ氏自身もかつては同じような価値観を持っていたそうで、サバレンカの「自分がミスをしただけ」という発言の根底にある考え方が理解できると述べている。
だがそのような考え方は「学びと経験で変えられるもの」とペトコビッチ氏。負け惜しみともとれる発言をしたサバレンカを正当化するつもりはないとし、ガウフはそもそも“プッシャー”的なプレースタイルを確立しているわけではないと主張。守備力はもちろん多彩な能力を兼ね備えた素晴らしい選手であるからこそ、ガウフは四大大会で複数回優勝できるのだと記した。
ペトコビッチ氏の考えに基づけば、サバレンカの問題発言の背景にはプレー面における自身の価値観が表れていたとも言えるだろう。一方で、ガウフの勝利は確かな実力に裏打ちされたものだった。何はともあれ、異なるプレースタイルを持つ二人の対決は、今後も注目を集めそうだ。
文●中村光佑
【画像】サバレンカに逆転勝利でココ・ガウフが全仏初優勝!2時間38分に及ぶ激闘を厳選ショットでプレイバック!
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準決勝で大会3連覇中だったイガ・シフィオンテク(ポーランド/同5位)を破っていたサバレンカは、決勝戦後の記者会見で次のようにコメントしていた。
「彼女(ガウフ)が素晴らしいプレーをしたから私が負けたのではなく、私が多くのミスを犯したから負けた。今までで最悪の決勝戦だったわ。仮に決勝に進出したのが私ではなくイガ(シフィオンテク)だったら、優勝していたのはイガだったでしょう」
これに対しガウフは自身の会見で「彼女(サバレンカ)の意見には同意できない。イガに悪意はないけれど、前回対戦した時には私がイガにストレートで勝ったわ。彼女の発言はフェアじゃないと思う」と反論。さらに「誰と対戦しても勝つチャンスはあったと思う。それくらいの信念を持って臨んでいたわ」とのコメントも残していた。
勝者を素直に称えず、多くの批判を浴びたサバレンカ。しかし女子元世界9位で2022年に現役を退いたアンドレア・ペトコビッチ氏(ドイツ/37歳)は、サバレンカの攻撃的なプレースタイルを考慮すると同情できる部分もあるとの考えを示す。先日コンテンツ配信プラットフォーム『Substack』にニュースレターを投稿した同氏はこう綴っている。
「私が若くて細くて、動きはまだ良くなかったものの同世代の選手の中ではすでにかなりパワーがあった頃、他のジュニア選手たちよりは多くのウイナーを決めていた。だから私もサバレンカと同じような考え方をしていた。ウイナーを決めた時だけ、自分は正しいことをしたと思っていた」
サバレンカのように、「ウイナーを決めることこそ価値がある」と考える選手は、相手のミスを誘うような地道なプレーや、粘り型・守備型(通称プッシャー)の選手を無意識に軽視しがちだという。ペトコビッチ氏自身もかつては同じような価値観を持っていたそうで、サバレンカの「自分がミスをしただけ」という発言の根底にある考え方が理解できると述べている。
だがそのような考え方は「学びと経験で変えられるもの」とペトコビッチ氏。負け惜しみともとれる発言をしたサバレンカを正当化するつもりはないとし、ガウフはそもそも“プッシャー”的なプレースタイルを確立しているわけではないと主張。守備力はもちろん多彩な能力を兼ね備えた素晴らしい選手であるからこそ、ガウフは四大大会で複数回優勝できるのだと記した。
ペトコビッチ氏の考えに基づけば、サバレンカの問題発言の背景にはプレー面における自身の価値観が表れていたとも言えるだろう。一方で、ガウフの勝利は確かな実力に裏打ちされたものだった。何はともあれ、異なるプレースタイルを持つ二人の対決は、今後も注目を集めそうだ。
文●中村光佑
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