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海外テニス

ダニエル太郎と内山靖崇、異なる武器とモチベーションを携えてかつて立った聖地ウインブルドンを目指す<SMASH>

内田暁

2025.06.24

メイン会場とは別の場所で実施されるウインブルドンの予選がスタート。ダニエル太郎(左/2024年)と内山靖崇(右/2025年)ら日本男子6選手が1回戦をクリアした。(C)Getty Images、同右:内田暁

メイン会場とは別の場所で実施されるウインブルドンの予選がスタート。ダニエル太郎(左/2024年)と内山靖崇(右/2025年)ら日本男子6選手が1回戦をクリアした。(C)Getty Images、同右:内田暁

 今季3大会目のグランドスラムであるウインブルドンの予選が、6月23日に開幕。初日は男子シングルス予選1回戦が行なわれ、日本勢ではダニエル太郎、内山靖崇、島袋将、綿貫陽介、トゥロター・ジェームズ、望月慎太郎の6選手が勝利した。

 150年に迫る歴史を誇り、今もテニスの伝統を残すことから“聖地”と呼ばれるウインブルドン選手権。ただその予選会場は、本戦とは異なる場所で行なわれる。

 予選会場の『コミュニティスポーツセンター』は、普段は平地が広がる芝のフィールド。そこにラインを引き、ネットを張り、仮設スタンドや選手ラウンジ用のテント等を設営して、予選が行なわれる。“聖地”への敷居は高く、道は遠い。「はるかなるウインブルドン」と憧憬を込め呼ばれる理由も、ここにあるのだろう。

 現在32歳のダニエルと内山は、いずれも元トップ100ランカー。ウインブルドン本戦にも、複数回出場している。そんな二人は、今もそれぞれが新鮮な情熱とモチベーションを胸に、予選のコートで戦っていた。

「今は、トップ100と、それ以外のレベルの差がほとんどない。なので、本戦でも予選からでも、どちらでもいいという気持ちになっています」

 そう語るのは、ダニエル太郎。10年ほど前のテニス界では、トップ100と200位前後ではテニスの質も異なったため、トップ100が一つの目標や指標たりえた。だが今は選手の層が各段に厚くなり、100位に明確なラインは存在しない。

「なので今はある意味、190位から30位にも行けるという感じがある」

 だからこそランキングという数字ではなく、実体としての現代テニスに適応していきたいのだと、ダニエルは言った。

 その意味でも芝のサーフェスは、今の自分に合っていると感じてもいるという。ダニエルといえば、かつては長いラリーを好み、クレーコートで強い印象が強かった。

「でも今の若手たちは、攻撃力が高い上に、弱点が少ない」とダニエル。

「昔なら、クレーだったら走って打ち返していれば勝てたところもあったが、今は遅いコートで全然ウイナーが取れない。逆に今は、芝の方がサーブでポイント取れたり、スライスが効果的だったりするので、以前とは勝てるサーフェスが逆になっている。だから、そこも面白いですよね」

 世界のテニスの変容や自身の年齢に伴い、得意と感じるコートも変わる。その深みに、ダニエルは新たな楽しみを覚えているという。
 
 偶然か必然か、このダニエルと似た想いを口にしたのが、内山だ。

「以前の僕は、芝が一番苦手だった。実際に2019年以前は、芝でほとんど勝ててなかったんですよ」

 今回の初戦勝利後に、内山が笑顔で明かす。

「でも2019年に、ここの予選を突破した時から、芝でのプレーがわかってきた。以前は、芝ではサーブキープが何より大切で、1回ブレークすれば勝てるという考え方をしていたんです」

「でも2019年に、リターンでブロックやチップを使うなど工夫して、リターンから試合を作るようにしたら勝てるようになって。そこからは、芝が一番好きなサーフェスになりました」

 さらに今季は例年とはスケジュールを変え、芝の前哨戦2大会にも出場。練習期間も含め、「芝でやりたいと思っていたプレーができ始めている」という。
 
 グランドスラム本戦の荘厳さも予選の厳しさも、いずれも知り尽くしたダニエルと内山。その二人が、異なる武器やモチベーションを有し、再びかつて立った聖地を目指す。

現地取材・文●内田暁

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