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海外テニス

「今は、全てが大切に感じる」大坂なおみを逆転で退けた34歳の執念。パブリチェンコワ、病を越えてつかんだ勝利<SMASH>

内田暁

2025.07.06

ウインブルドン3回戦で大坂(左)を破ったパブリチェンコワ(右)。その裏には、今年1月の全豪OP後の感染症との闘い、そして苦しみの日々があった。(C)Getty Images

ウインブルドン3回戦で大坂(左)を破ったパブリチェンコワ(右)。その裏には、今年1月の全豪OP後の感染症との闘い、そして苦しみの日々があった。(C)Getty Images

「プレーが悪かったとは言わない。でも、今大会でもっと上まで行きたかった。過去より、良い結果が欲しかった」

 敗戦から間を置かず、メインインタビュールームで開かれた、記者会見。ライトの当たる席に呆然と座り、記者たちの質問にも短く応じる大坂なおみ(世界ランキング53位)は、「なぜそこまで落ち込んでいるのか?」と問われた時、そう答えた。

 テニスの四大大会「ウインブルドン」女子シングルス3回戦。34歳のベテラン、アナスタシア・パブリチェンコワ(ロシア/同50位)相手に大坂は、立ち上がりからエースを連発し、第1セットを6-3で奪う好スタートを切った。

 第2セットでも、ゲームカウント4-4の相手サービスで2連続ブレークポイントを得て、勝利目前まで迫る。だがこの場面でパブリチェンコワは、大坂も思わず拍手を送る会心のウイナーを叩き込んだ。結果的にこの機を逃した大坂は、続くゲームと共にセットを落とす。

 ファイナルセットは、ダブルフォールトも重ねて大坂が先にブレークダウン。それでも顔を上げくらいつくが、サーブキープに苦しんだ。最終ゲームも、リターンから押し込まれる。ブレークと共に、勝利も相手の手に渡った。
 
「驚いたことに、とても高いレベルでプレーができている。特に精神的に、とてもとても、とても強く戦えている」

 大坂とは対照的に、試合後たっぷり時間を取って小さな会見室を訪れたパブリチェンコワは、喜びと驚嘆の混じる表情で言った。

 なぜ、「驚いたことに」なのか?

 そう問うと、前日に誕生日を迎えた勝者は、「ここ最近、健康状態が良くなかったから」と明かした。

「全豪オープンで準々決勝に進出した後、ウイルスに感染し体調を崩したんです。インディアンウェルズの直前(3月上旬)にライム病と診断され、その後、幾つかの大会を欠場。6週間抗生物質を飲み、服用を止めたのが5月で、やっと少しずつ体調が良くなってきたところです」

 ライム病は、マダニを媒介とする感染症で、発熱や関節痛などの症状が現れる。彼女の場合は加えて、倦怠感や頭痛等もひどかったという。

「直ぐに疲れてしまうので、1時間以上の練習ができなかった。シーズンのスタートが良かっただけに、全てが台無しになったようで、本当に悔しかった。常に疲労感があり、右のこめかみ辺りに冷えるような痛みを常に感じていました。頭もぼんやりし、視界がぼやけることもあった。心拍数が上がると症状が出るので、練習や試合を制御しなくてはいけなかったんです」
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