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元全米女王スティーブンスが“モハメド・アリ・人道賞”を受賞! 戦線離脱中の32歳が語る若者支援への思い<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.07.21

ツアーと並行して財団を運営し、テニス指導を超えた若者支援に取り組んできたスティーブンス。その功績が認められ、今回の受賞となった。(C)Getty Images

 2017年全米女王で元世界3位のスローン・スティーブンス(アメリカ/32歳/世界ランキング237位)が、人道的活動の功績を称えられ、7月16日のESPYアワードで「モハメド・アリ・スポーツ人道賞(Muhammad Ali Sports Humanitarian Award)」を受賞した。テニス選手としては史上初の快挙であり、選手としての枠を超えた存在であることが評価された。

 この賞は、オリンピックやプロスポーツの選手を対象に、スポーツを通じてコミュニティに好影響を与えた人物に授与されるもの。偉大なボクサーであり人道主義者でもあったモハメド・アリの精神を受け継ぐ、極めて名誉ある賞だ。

 スティーブンスは、輝かしいキャリアと並行し、財団を通じてテニス指導を超えた包括的な若者支援に取り組んできた。カリフォルニア州コンプトンやフロリダ州南部など、機会の限られた地域に住む子どもたちの教育支援、メンタルヘルス促進、経済的なリテラシー育成に至るまで、活動は多岐にわたる。

 支援活動の出発点となったのは、ある少女との出会いだった。スティーブンスはこう語っている。

「最初にミアと出会ったのは、彼女が9歳の時でした。小さな身体で、まるでずっとテニスをやってきたみたいなバックハンドを打つパワフルな子でした。その時は、まさか私たちがこれから一緒に旅を始めることになるとは思ってもいませんでした。

 その旅では、ミアが私から学んだのと同じくらい、私も彼女から多くのことを学ぶことになったのです。ミアこそが、スローン・スティーブンス財団の存在理由です。コンプトンや南フロリダ、そして今や全米各地に、彼女のような子どもたちが数百人います」
 
 活動はやがて地域全体を巻き込んだ包括的な教育支援へと発展していった。

「放課後のテニスレッスンから始まった活動が、今では私の夢以上のものになりました。読書ラボや水泳、eスポーツ、ヨガ、金融教育、奨学金、そして安全な居場所など」

 オンコートでは昨年4月の「オープン・キャップファイナンス・ルーアン・メトロポール」(フランス・ルーアン)を最後にタイトルから遠ざかり、今季はケガのため3月から戦列を離れている。しかし、32歳が大切にしているのは勝負だけではない。

「これは単なる情熱のプロジェクトではありません。私の使命です。私はただテニスボールを打つためだけにここにいるのではなく、それ以上のことをするためにここにいることを知っています。

 タイトル獲得には誇りを感じますが、誰かが彼らを信じ続け、彼らが自分自身を信じることができたおかげで、子どもたちが人生で勝利していく姿を見ることほど素晴らしいものはありません」

 タイトルを追いかける日々の中で、彼女が胸に刻むもうひとつの誇りがある。

構成●スマッシュ編集部

【画像】スティーブンスがインスタグラムに投稿した受賞式の様子!

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