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海外テニス

「ラケット競技のスタートとして最適」全仏オープン会場に設置されたピックルボール用コートにみるFFTの新戦略<SMASH>

内田暁

2025.08.05

今年の全仏オープンで開催されたイベントではコート上にはピックルボールのプロ―モート用携帯式コートが敷かれた。写真:内田暁

今年の全仏オープンで開催されたイベントではコート上にはピックルボールのプロ―モート用携帯式コートが敷かれた。写真:内田暁

 そのような“総合的ラケット競技”をプロモートする場として、2週間で70万以上の人々が足を運ぶ、全仏オープン以上に効果的な舞台もない。そこで昨年は、レッドクレーの上に仮設ピックルボールコートを作成。今年は加えて、パデルコートも会場内に登場した。

 なお、5番コートに作られたピックルボールコートのサーフェス(一番上のレイヤー)は、プロ―モート用の“携帯式コート”。

「見て頂ければわかりますよ」と、ルセール氏はコートの隅をひょいと剥がして、構造を見せてくれた。

「まずは、コートを保護するための緩衝材をレッドクレーの上に敷きます。これは、陸上競技のトラックに使われているのと同じ素材です。その上に、木材。そして最後に、ゴム素材のピックルボールコートを敷きます」

 ピックルボール発祥の地のアメリカでは、現在は多くのテニスコートがピックルボールに取って代わられているため、同競技の発展は、テニス環境の縮小につながると危惧する関係者の声も多い。ただルセール氏は、重要なのは相互作用と循環性だと提言する。

「ピックルボールは初心者でも簡単に楽しめるので、ラケット競技のスタートとして最適です。また、ピックルボールで培う手の感覚やゲーム性は、テニスにも生きるでしょう。まずはピックルボールでラケットに親しみ、次にテニスを本格的にプレーするという順路もありえると思います。
 
 さらにピックルボールは、テニス選手たちのセカンドキャリアにもなり得ます。実際に、アンドレ・アガシやジャック・ソック、ユージェニー・ブシャールらテニスのスター選手たちが、引退後にピックルボールをやっていますから。今回、アガシはここを訪れデモンストレーションもしてくれました。

 ピックルボールの層は幅広く、現在フランスでの競技者は男女約半々で、ボリューム層は40歳前後です。いろんな年齢、性別の人たちが一緒に対戦できるのが、この競技の美点です」

 確かにラケット競技はフィジカルコンタクトがなく、多様かつ横断的にプレーできるのも、大きな利点だろう。思えば“ラケット(racket)”の語源は、アラビア語で手の平を意味する“rakhat”だと言われている。手をたずさえながら、共に成長していく――それが可能なスポーツなのだ。

現地取材・文●内田暁

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