■ 練習メニューに自分なりの「ルール」を加える
練習を試合に近づけるためには、練習のなかで「ミスできない」という「試合に近いプレッシャー」を感じられる仕掛けを取り入れることが大切です。
このとき、プレッシャーのかかり方にはいくつかの種類が考えられます。ひとつは、コーチや練習仲間など、自分の外側からかかるプレッシャーです。
ある選手は、高校進学をきっかけに、自分よりも実力が高い先輩たちと練習する日々が続きました。当時を振り返り、「ミスが許されない雰囲気で、試合よりも練習の方が緊張していた」と話します。しかし、こうした緊張感のなかでの練習を積み重ねたことで、試合でも練習どおりのパフォーマンスが出せるようになっていきました。
とはいえ、こうした外側からの強いプレッシャーがかかる環境が身近にあるとは限りません。さらに、プレッシャーには「適度な範囲」があり、それを超えるとプレーが萎縮したり、過度な心理的負担につながったりする可能性があります。
そこでおすすめしたいのが、自分自身で適度なプレッシャーをつくり出す方法です。そのひとつが、練習メニューに自分なりの「ルール」を付け加える方法です。通常、練習ではメニューが提示され、それに取り組むことになります。そこに自分なりの「ルール」をひとつ加えるだけで、練習の質は大きく変化します。
たとえば、ラリー練習の際に「50球連続でボールを入れる」、サービス練習の際に「セカンドサービスを10球連続で入れる」といったように、自分にとって程よい負荷がかかるルールを設けてみるとよいでしょう。
ルールを設けた練習では、目標達成に近づくにつれて自然と緊張感が高まります。あと少しでクリアできる場面でのプレッシャーは、試合の重要なポイントで感じるプレッシャーにも通じるものがあり、それはただメニューをこなすだけの練習では得られない感覚です。
■ 「ミスを減らす時間」と「チャレンジする時間」を使い分ける
自分にプレッシャーをかけながら練習することは大切ですが、ひとつ注意すべき点があります。それは「とにかくミスしないこと」ばかりを重視すると、逆にチャレンジの機会が失われてしまうということです。第8回で取り扱ったように、成長には「新しいアイデアを積極的に試すこと」が欠かせませんが、このチャレンジにはどうしてもミスが伴います。
そこで、練習のなかで「ミスを減らす時間」と「チャレンジする時間」を意図的に使い分けることが大切になります。筆者自身も、かつては「ミスしないこと」を重視するあまり、チャレンジする時間を十分に取れていなかったと感じています。
だからこそ、筆者がコーチとして、選手にクロスラリーをしてもらう際には、最初の3分は自由にプレーしてもらい、後半の3分は「ミスなしで何球続けられるか」をカウントするなど、意図的なルールの使い分けを心がけています。
ここまで記してきたように、緊張に強いかどうかは個人の性格のみで決まるわけではありません。むしろ、どのような心理状態で練習を積み重ねてきたのかが大きく影響します。だからこそ、今の自分の環境やレベルに合わせ、日頃の練習に「小さなプレッシャー」を加えていくことが、試合で強い自分を育てることにつながっていきます。
解説=日置和暉
2000年生まれ。慶應義塾体育会庭球部を経て、慶應義塾大学大学院に進学。慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。プリンス契約コーチ。2023年、日本テニス学会研究奨励賞。
解説=發田志音
2000年生まれ。慶應義塾体育会矢上部硬式庭球部を経て、東京大学大学院に進学。国際テニス連盟のコーチング科学誌で論文審査を担当。2018年、日本テニス学会研究奨励賞。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2024年11月号より抜粋・再編集
【画像】なかなか見られないトッププロの練習やテニス教室の様子
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練習を試合に近づけるためには、練習のなかで「ミスできない」という「試合に近いプレッシャー」を感じられる仕掛けを取り入れることが大切です。
このとき、プレッシャーのかかり方にはいくつかの種類が考えられます。ひとつは、コーチや練習仲間など、自分の外側からかかるプレッシャーです。
ある選手は、高校進学をきっかけに、自分よりも実力が高い先輩たちと練習する日々が続きました。当時を振り返り、「ミスが許されない雰囲気で、試合よりも練習の方が緊張していた」と話します。しかし、こうした緊張感のなかでの練習を積み重ねたことで、試合でも練習どおりのパフォーマンスが出せるようになっていきました。
とはいえ、こうした外側からの強いプレッシャーがかかる環境が身近にあるとは限りません。さらに、プレッシャーには「適度な範囲」があり、それを超えるとプレーが萎縮したり、過度な心理的負担につながったりする可能性があります。
そこでおすすめしたいのが、自分自身で適度なプレッシャーをつくり出す方法です。そのひとつが、練習メニューに自分なりの「ルール」を付け加える方法です。通常、練習ではメニューが提示され、それに取り組むことになります。そこに自分なりの「ルール」をひとつ加えるだけで、練習の質は大きく変化します。
たとえば、ラリー練習の際に「50球連続でボールを入れる」、サービス練習の際に「セカンドサービスを10球連続で入れる」といったように、自分にとって程よい負荷がかかるルールを設けてみるとよいでしょう。
ルールを設けた練習では、目標達成に近づくにつれて自然と緊張感が高まります。あと少しでクリアできる場面でのプレッシャーは、試合の重要なポイントで感じるプレッシャーにも通じるものがあり、それはただメニューをこなすだけの練習では得られない感覚です。
■ 「ミスを減らす時間」と「チャレンジする時間」を使い分ける
自分にプレッシャーをかけながら練習することは大切ですが、ひとつ注意すべき点があります。それは「とにかくミスしないこと」ばかりを重視すると、逆にチャレンジの機会が失われてしまうということです。第8回で取り扱ったように、成長には「新しいアイデアを積極的に試すこと」が欠かせませんが、このチャレンジにはどうしてもミスが伴います。
そこで、練習のなかで「ミスを減らす時間」と「チャレンジする時間」を意図的に使い分けることが大切になります。筆者自身も、かつては「ミスしないこと」を重視するあまり、チャレンジする時間を十分に取れていなかったと感じています。
だからこそ、筆者がコーチとして、選手にクロスラリーをしてもらう際には、最初の3分は自由にプレーしてもらい、後半の3分は「ミスなしで何球続けられるか」をカウントするなど、意図的なルールの使い分けを心がけています。
ここまで記してきたように、緊張に強いかどうかは個人の性格のみで決まるわけではありません。むしろ、どのような心理状態で練習を積み重ねてきたのかが大きく影響します。だからこそ、今の自分の環境やレベルに合わせ、日頃の練習に「小さなプレッシャー」を加えていくことが、試合で強い自分を育てることにつながっていきます。
解説=日置和暉
2000年生まれ。慶應義塾体育会庭球部を経て、慶應義塾大学大学院に進学。慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。プリンス契約コーチ。2023年、日本テニス学会研究奨励賞。
解説=發田志音
2000年生まれ。慶應義塾体育会矢上部硬式庭球部を経て、東京大学大学院に進学。国際テニス連盟のコーチング科学誌で論文審査を担当。2018年、日本テニス学会研究奨励賞。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2024年11月号より抜粋・再編集
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