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海外テニス

ジョコビッチも「失格の可能性が減る」と自虐しつつ賛同。「クレーにも持ち込む時」全仏OPで高まるビデオ判定導入の気運

内田暁

2020.10.06

市場の多くを占めるホークアイシステムとは異なり、実際の映像をもとに判定を下すフォックス・テン。(C)Getty Images

市場の多くを占めるホークアイシステムとは異なり、実際の映像をもとに判定を下すフォックス・テン。(C)Getty Images

 先の全米オープン優勝者のドミニク・ティーム(オーストリア)は、「100%、ホークアイの導入に賛成だ。デニスの試合ではミスジャッジがあったし、僕の試合でも誤審があった」と語気を強める。

 また、クレーではビデオ判定の精度が低いとの見識に関しても、ティームは異論を唱えた。
「リオの大会では“フォックス・テン”システムが採用され、非常に正しく稼働していた。僕はリオで3試合やったが何も問題はなかった。来年は、全てのクレーの大会でも導入されれば良いと思う」

 フォックス・テンはスペイン人が開発したビデオ判定システムで、楽天ジャパン・オープンを含む複数の大会で採用されている。ホークアイを上回る台数のカメラを用いており、判定の際にモニターに表示される動画も実際の映像を用いるため、ホークアイよりも信ぴょう性が高いとの声も多い。

 若手の旗手のステファノス・チチパス(ギリシャ)も、「ホークアイをクレーに持ち込む時だ。この時代で、そうならない理由が分からない。技術は進化し続けているし、どのサーフェスでも正確に働くはずだ」と、ティームらの意見に賛同する。
 
 世界1位にして、選手評議会会長のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、より先鋭的な見解だ。
「この競技の歴史や文化、携わる人びと全てに敬意を表した上で言うのだが、線審にこだわる理由が分からない」

 ジョコビッチのこの意見は、今年ニューヨークで開催されたウェスタン&サザンオープンと全米オープンで、ホークアイがラインジャッジも代行したことに由来する。この機械判定は既に、米国開催の“ワールド・チーム・テニス”や“NextGen ATPファイナルズ”でも採用されていたが、ランキングポイントのつくツアー大会等では初の試みだった。それが問題なく2大会を終えたことで、他の大会での活用を求める機運も高まっている。

「もちろん機材導入にはお金が掛かるだろうが、我々は先に進まなくてはいけない。早晩、線審を置く必然性はなくなると思う」
 それらの見解を毅然と述べるジョコビッチは、最後には、照れくさそうに相好を崩して付け加えた。

「そうすれば、僕がニューヨークでしでかしたこと(線審にボールをぶつけた廉で失格)が起きる確率も、ぐっと低くなるしね」

文●内田暁

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