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国内テニス

伊達公子がジュニア育成のために立ち上げた国際大会が無事終了。強化メンバーが準優勝するなど大きな成果が!

内田暁

2020.12.09

第1回大会を制したのは、男子シングルスがジョーンズ怜音(左)、女子シングルスが石井さやか(右)。写真:ヨネックス株式会社

第1回大会を制したのは、男子シングルスがジョーンズ怜音(左)、女子シングルスが石井さやか(右)。写真:ヨネックス株式会社

 伊達プロジェクトの一員として、伊達が自分たちのために立ち上げた大会に身を置くのは、プレッシャーとの戦いでもあっただろう。それでも彼女は、重圧も対峙すべき要素として受け入れた。勝ち上がるたびに伊達に言われたのは、「勝つには勝っているが、優勝するという強い気持ちが足りない」ということ。その言葉を胸に刻み、準々決勝や準決勝では競った試合を勝ち切った。

 ただ決勝戦では、多少の気持ちの空回りもあっただろうか。緊張の立ち上がりを相手に叩かれ主導権を握られると、9ゲーム連取を許すワインサイドな展開に。そこからは、「相手が打つコースもわかってきた。ここがチャンスだと思った」と冷静さを保ち5ゲーム連取で逆襲するも、第2セットは取り切れず。「ポイントが欲しくて、力んでミスが出た」ことを悔やんだ。
 
 その奥脇を破り初代優勝者となったのは、15歳の石井さやか。全国選抜ジュニアのタイトルなどは持つ石井だが、国際大会では、これがうれしい初戴冠。

 コロナ禍で実戦の場が消えていく時期を「課題にしっかり取り組む良い期間」と捉え、サービス等の強化に取り組んできたという石井。その成果を発揮しての優勝に「素直にうれしい」と相好を崩し、同時に、「この大会で見えた課題に取り組み、来年はグランドスラムジュニア出られるように頑張りたい」と断言した。
 
 また男子シングルスを制したのは、アメリカ人を父に持つジョーンズ怜音。伊藤竜馬も輩出した地元四日市市のスクールでテニスを始め、2年半前から、フランスのムラトグルアカデミーを拠点とする15歳は、現在はビザの関係で一時帰国中。その間に出場した山梨のITFジュニア、そして今大会でも硬軟自在のプレーで優勝し、着実に世界へのステップへと足を掛けた。
 
 今大会の男女優勝者はいずれも、「来年はグランドスラムジュニア」、そして近い将来には「プロとして世界で戦う」という明確な目標を視野に入れている。

 そのような意識の選手が初代チャンピオンとなったこと、そして、自ら手塩にかけた教え子が準優勝したことは、「出場した選手たちが、いずれグランドスラムで勝っていくことを目的として作った大会」と明言する伊達にしても、喜ばしい始まりとなったはずだ。

取材・文●内田暁

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