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海外テニス

【レジェンドの素顔5】ベッカーに逆転負けしたマッケンローが、再び歩み出した最強への道|後編<SMASH>

立原修造

2021.03.31

復帰後のマッケンローのボレーには全盛期の切れがなく、課題として残った。写真:THE DIGEST写真部

復帰後のマッケンローのボレーには全盛期の切れがなく、課題として残った。写真:THE DIGEST写真部

最強への道を再び歩き始めた

 最初のマッチポイントでダブルフォールトを犯してしまう。しかし、これにはマッケンローにも気の毒な面があった。というのは、ファーストサービスがクロスをわずかにアウトしたが、サービスエースと勘違いした観客たちが一瞬歓声をあげた。そこでベッカーが左手を振って"まだまだ"とジェスチャーしたので、今度は会場全体がどよめいた。これで間があいた。この一瞬のズレでマッケンローはペースを狂わせてしまったのだ。

 それは仕方がない。問題はそのあとのボレーミスだ。サービス・ダッシュしたマッケンローは、腰の高さのバックボレーをボール一個分だけアウトさせてしまった。これはいただけなかった。なぜならば、腰の高さのイージーなバックボレーはかつてマッケンローが百発百中にしていたショットだからだ。
 
 サービスはベッカーに移った。しかし、まだ6ー5とマッケンローがマッチポイントを
握っている。アドバンテージ・サイドからのサービス。しかも、絶対にエースを取りたい場面だ。こんなとき、ベッカーはほとんどセンターを狙ってくる。案の定、ボールはセンターに鋭く来た。しかし、マッケンローは当てることもできずにエースにしてしまった。ここらも勘が悪い。ベッカーの動きを見れば当然センターに来ることは予測できたはず。もう少し対処の方法があったのではないか。

 こうしてみると、6ー3とマッチポイントを取るまでのマッケンローは、ナンバーワン復活を期待できるほどすばらしかったが、その後はツキにも見放されてもろさをさらけ出す結果になってしまった。

 このタイブレークは6オールからもつれたが、結局はベッカーがポイント10ー8と取った。ただ、負けたとはいえ、ウインブルドンを連覇して好調のベッカーをここまで苦しめたのだから、復帰第一戦としては上々のできだった。
 

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