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海外テニス

大坂なおみとブレイディ、異なる道を歩んだ“旧知の友”が決勝で邂逅【全豪オープン/現地発リポート】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.20

全米準決勝で戦った大坂とブレイディ。早く成功した大坂に、幼なじみのブレイディは大学を経て追いついてきた。(C)Getty Images

全米準決勝で戦った大坂とブレイディ。早く成功した大坂に、幼なじみのブレイディは大学を経て追いついてきた。(C)Getty Images

 確かに勝利への最終ゲーム、大坂はサービスをワイドに打ちエースを決めると、その後も2本連続でフォアサイドに打ち、サービスウイナーを奪う。そして最後は、相手の読みの逆を突くようにバックに打ち、動揺したセレナのミスを誘った。

「グランドスラムの準決勝で、セレナ相手に勝利へのサービスゲームを迎えてなお、あれだけ頭をクリアにできるのは彼女の才能だろう。確かに彼女には凄まじいサービスやフォアハンドがある。だがそれ以上に、彼女には考える力がある」
知将は、大坂の知性を手放しで褒めた。

 そのような大坂の状況判断力や分析力、そして何より経験が、決勝では大きな意味を持つだろう。

 対戦相手は、ジェニファー・ブレイディ。昨年の全米オープン準決勝でも対戦し、大坂が「この半年で一番意味のある勝利」に挙げた試合の演者である。
 
 ブレイディにとって2歳年少の大坂は、彼女の言うところの「プロで早々に結果を残した同世代」だ。「私となおみ、それに彼女の姉は、フロリダで一緒に育ったようなもの。ローカルのジュニア大会で、よく顔を合わせていた」という少女時代から知った仲だ。
 
 ただ当時の彼女は、テニスをする意義を見いだせず、プロの世界に羽ばたいていくライバルたちに羨望の視線を向けていたという。大坂も、そのような「成功した同世代」の一人。自分の能力を信じきれなかった彼女は、プロではなく、UCLAへと進学した。

 その新たな環境下で、彼女は初めて「テニスを心から楽しいと感じた」という。卒業後はプロとなり、そして一昨年末には、拠点をドイツに移してさらなるジャンプアップを果たした。

 初のグランドスラム決勝に挑むブレイディの心境を、大坂は自身の経験と重ね、「とてもナーバスで、同時に、優勝するチャンスがあることにとても興奮した。きっと私の対戦相手も、同じような心持ちになるでしょうね」と類推する。

「私の方が経験があることが、有利に働くのか否かわからない。相手が誰でも私が優勝候補と見られるだろうから、それが重圧になり、私に不利に働くかもしれない。相手は失うものがないので伸び伸びとプレーし、私は、負けを恐れて硬くなるかもしれない。色んな可能性が考えられる」

 でも……と、過去3度のグランドスラム決勝を戦い、その全てで勝利した世界3位は続けた。
「現時点で私は、重圧は感じていないわ」と。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】2度目の全豪オープン制覇へ!メルボルンで躍動する大坂なおみ!
 
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