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海外テニス

国際色豊かな2つのシンデレラストーリー。全米OP決勝に駆け上がったフェルナンデスとラドゥカヌ<SMASH>

内田暁

2021.09.11

18歳のラドゥカヌは予選から失セット0の快進撃。(C)Getty Images

18歳のラドゥカヌは予選から失セット0の快進撃。(C)Getty Images

「彼女はショットや動きも良いけれど、何より素晴らしいのは、内面の強さ。彼女の精神力、自分を信じる強さが、私の印象に強く刻まれている。特に、全仏オープンのスキアボーネとの決勝は、長くてメンタルの強さが求められる試合だった。あの試合は今でも、私の脳裏に焼き付いている」。そう語るラドゥカヌの、恐れを知らぬかのようなストロークと崩れぬメンタリティは、確かにリー・ナを彷彿させるものがある。

 テニス界に新風を吹き込むティーンエイジャーの会見には、多種多様なメディアが集まり、彼女らの豊かな背景に自身のそれを投影するかのような質問を向けた。
 
 フィリピンのレポーターは、「フィリピンでもテニスの話題で盛り上がり、多くの人々があなたを応援しています」とフェルナンデスに笑顔で伝える。アジア系記者はラドゥカヌに母親のことを尋ね、カナダ人ジャーナリストは、「この決勝は、事実上のカナディアン・ファイナルだ」と笑った。
 
 今年は、WTA創設の初期メンバーである“オリジナル9”がテニス殿堂入りしたこともあり、50年に渡る女子テニスのグローバル化と、多様性が話題に上る機運でもある。

 その中で決勝に駆け上がったフェルナンデスとラドゥカヌは、オリジナル9が掲げた信念の正統後継者であり、二人の頂上決戦は新たな歴史の起点である。

取材・文●内田暁

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