専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

虫賀姉妹が全豪OPジュニア複8強。プレースタイルを模索する愛央とコロナ後遺症に苦しむ心央「ちゃんと最後負けて終われた」<SMASH>

内田暁

2022.01.28

2017年全国小学生の決勝後の愛央(左)と心央(右)。写真:滝川敏之

2017年全国小学生の決勝後の愛央(左)と心央(右)。写真:滝川敏之

 体力への不安は、ラリーの組み立てを得意とする、彼女のテニススタイルにも影響を及ぼした。精神的に、粘れない。本来ならショートクロスなどを使って相手を崩したい場面でも、一本で決めにいく。

「今ちょっと、迷いの中で……ねっ?」勝ち気だという妹が、不安そうに姉に同意を求めた。

 一方の姉の方も、今回グランドスラムジュニアという高みに来て、改めて感じたことがあったという。

「普通のITFジュニア大会でも、背が高かったりパワーがある子はいる。ただここに来て感じたのが、みんなフットワークが良い。ボールを取れる子が多い」

 結局は、そういう子が残っている。だからこそ、打つだけではこの先は勝ち残れない……姉は姉で、自分の立ち位置を認識した上で、プレースタイルを模索しているようだった。

 姉は、持ち味の攻める姿勢に加え、ポイントの組み立ての大切さを知り始めた。妹は、自信を持つテクニック以外にも、決めきるパワーを欲している。

 日本を離れ、互いに種々の経験を重ねる中で、「最近、プレーが似てきたよね」と二人は視線を交わしながら笑った。
 
 虫賀姉妹のグランドスラムデビュー戦は、シングルスは両者とも初戦敗退、ダブルスはベスト8という結果となった。

 それ以上に妹の心央にとって大きいのは、予選を勝ち上がり本戦に出られたこと。そしてダブルスも含め、棄権することなく、最後まで戦い抜けたことだ。

「久しぶりに、ちゃんと最後負けて終われた。そういう意味では良い経験でした。大好きな(アシュリー・)バーティーの試合や練習も見られたし、良い一年のスタートです」。敗戦直後は険しかった心央の表情が、最後は柔らかくなっていた。

 コロナ後遺症のためジュニアランキングが下がった心央は、今後は一般のITFサーキットに絞り回っていくつもりだという。一方の姉の愛央は、ジュニアランキングも上げつつ、プロの大会も混ぜていくプランだ。

 これまで二人三脚だった二人の道は、しばし分かれることになる。それでも、プレースタイルが徐々に似通っていきたように、目指す高みが同じ限り、いずれ足跡は重なるはずだ。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】錦織、伊達も!日本人トッププロたちの“懐かしジュニア時代”の秘蔵写真をお届け!

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号