そこで新たに試したのが、ポリツアープロ。鮮やかなイエローカラーが人目を惹くが、性能的には「一番、標準的でバランスが良い」ものだ。
そのストリングで挑んだ最初の試合が、「全てだった」と靖雄氏は振り返る。
戦いの場は、アメリカ開催のチャレンジャー。大会のレベルを下げ、勝利を取りにいったその初戦で、西岡は綿貫陽介と対戦したのだ。
「良仁は口にしませんが、すごく嫌がっている感じは伝わってきました」と、兄は言う。大会会場には、多くの日本テニス関係者たちも居た。そのなかで後輩と戦うことに、重圧を感じないはずはない。
実際に、「立ち上がりは硬かった」と兄は見る。ただ助かったのは、相手が遮二無二攻めてくれたことだった。相手が攻め急いでくれたことで、ミスを誘う策にはめることもできたからだ。
この勝利をブースターとして、西岡は同大会で優勝。その道程では、58位のジェイソン・ブルックスビーをも破っている。さらには翌週のチャレンジャーでも、決勝へと勝ち上がった。
「アメリカシリーズに入ってガットを変えたのが、すごくフィットして。チャレンジャーを戦ったのは本当によかったです。100位より下の選手なら、まだ自分の方が強いという流れはキープできたので」
西岡本人も、この勝利の大きさを改めてかみしめた。
ここで自信と勢いを得た西岡は、ツアーでも勝ち始めた。特に大きかったのは、2月下旬のアカプルコ大会。予選を勝ちあがり、2回戦では当時16位のテイラー・フリッツに競り勝つ。その先で戦ったのは、世界1位到達を確定させたばかりの、ダニール・メドベージェフ。再び世界最高峰の舞台に、誰もが恐れるくせ者が戻ってきた。
マイアミ・オープン2回戦のダニエル・エバンス戦は、西岡の完全復活を印象付ける勝利だった。過去3戦全勝という相性の良さが、迷いのなさと自信の源泉でもあっただろう。だからこそ第1セットを落としても、焦りはない。
「やることは明確で、基本的には彼のバックに打ってスライスに打たせる。あんまり力を入れずにゆるく打って、向こうに打たせることで、相手も体力がなくなる。いつも、相手が走るのを嫌がり先に打ってミスする展開なので、そこに持ち込もうと思っていました」
その基本戦術を貫きつつ、冴えた嗅覚で鍵となるゲームやポイントを見極め、試合の流れを掌握する。
そのストリングで挑んだ最初の試合が、「全てだった」と靖雄氏は振り返る。
戦いの場は、アメリカ開催のチャレンジャー。大会のレベルを下げ、勝利を取りにいったその初戦で、西岡は綿貫陽介と対戦したのだ。
「良仁は口にしませんが、すごく嫌がっている感じは伝わってきました」と、兄は言う。大会会場には、多くの日本テニス関係者たちも居た。そのなかで後輩と戦うことに、重圧を感じないはずはない。
実際に、「立ち上がりは硬かった」と兄は見る。ただ助かったのは、相手が遮二無二攻めてくれたことだった。相手が攻め急いでくれたことで、ミスを誘う策にはめることもできたからだ。
この勝利をブースターとして、西岡は同大会で優勝。その道程では、58位のジェイソン・ブルックスビーをも破っている。さらには翌週のチャレンジャーでも、決勝へと勝ち上がった。
「アメリカシリーズに入ってガットを変えたのが、すごくフィットして。チャレンジャーを戦ったのは本当によかったです。100位より下の選手なら、まだ自分の方が強いという流れはキープできたので」
西岡本人も、この勝利の大きさを改めてかみしめた。
ここで自信と勢いを得た西岡は、ツアーでも勝ち始めた。特に大きかったのは、2月下旬のアカプルコ大会。予選を勝ちあがり、2回戦では当時16位のテイラー・フリッツに競り勝つ。その先で戦ったのは、世界1位到達を確定させたばかりの、ダニール・メドベージェフ。再び世界最高峰の舞台に、誰もが恐れるくせ者が戻ってきた。
マイアミ・オープン2回戦のダニエル・エバンス戦は、西岡の完全復活を印象付ける勝利だった。過去3戦全勝という相性の良さが、迷いのなさと自信の源泉でもあっただろう。だからこそ第1セットを落としても、焦りはない。
「やることは明確で、基本的には彼のバックに打ってスライスに打たせる。あんまり力を入れずにゆるく打って、向こうに打たせることで、相手も体力がなくなる。いつも、相手が走るのを嫌がり先に打ってミスする展開なので、そこに持ち込もうと思っていました」
その基本戦術を貫きつつ、冴えた嗅覚で鍵となるゲームやポイントを見極め、試合の流れを掌握する。
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