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海外テニス

西岡良仁がマイアミ3回戦進出!失意の底から這い上がり“らしさ”を取り戻した戦術家の取り組み<SMASH>

内田暁

2022.03.28

巧みなかけ引きから勝利を導く得意のパターンでマイアミ3回戦進出を果たした西岡。(C)Getty Images

巧みなかけ引きから勝利を導く得意のパターンでマイアミ3回戦進出を果たした西岡。(C)Getty Images

 西岡の真骨頂が発揮された最初のターニングポイントが、第3セットの第6ゲームで、ブレークポイントをつかんだバックのリターンウイナー。

 ワイドに切れるスライスサーブは、サーブ&ボレーを得手とするエバンスの生命線だ。だからこそ、「最終的にあそこに頼ってくると思っていたので、完全に読んでいた」と、西岡はしてやったりの笑みを広げる。直後のポイントで、エバンスはダブルフォールト。試合の潮流は大きく西岡に傾いた。

 もう一つの象徴的なシーンが、続くゲームの30-15で訪れる。

 セカンドサーブで、ワイドに来ると信じ大きくバックステップを踏んだエバンスをあざ笑うかのように、西岡はセンターにエースを打ち込んだのだ。
 
「ぜったい決まると思ってました。回り込むのはわかっていたので」

 この場面に関しても、西岡は確信を込めて振り返る。アドサイドからセンターに打つサーブは、サウスポーの西岡にとっては「スライス回転が掛かると、甘くなる」という、リスクの高い選択でもある。

 だからこそ西岡は、もっとも効果的な場面で使うべく、最後の最後までこのカードを隠し続けた。

「ああいうのも、駆け引きですね」

 その駆け引きに、彼はことごとく勝利した。

 試合全体を一つの物語のように紡ぎ、要所要所で伏線を張り、ここぞという場面で切り札を出す西岡のテニスは、結末の読めない映画のような、スリリングな趣がある。
 
 エバンスを破った先で西岡が対戦するのは、ビッグサーバーのロイド・ハリス。

 テニス界きっての策士がどのようなシナリオを描くのか? 興味の尽きぬ一戦だ。

現地取材・文●内田暁

※マイアミ・オープン3回戦/西岡良仁―ロイド・ハリス
(現地3月28日・日本時間29日未明)

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