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海外テニス

18歳の王者候補アルカラス!大ブレークの転機は2年前の“勝利と敗北”だった【シリーズ/ターニングポイント】

内田暁

2022.04.06

元世界1位のフェレーロ(右)の下で鮮やかな成長曲線を描いているアルカラス。(C)Getty Images

元世界1位のフェレーロ(右)の下で鮮やかな成長曲線を描いているアルカラス。(C)Getty Images

 翌日の決勝当日――。

 師が愛弟子に駆けた言葉は、「特にドラマチックではない」内容だったという。

「誰もが、これが僕にとっての最初のマスターズ1000決勝だとわかっている。でもファンカルロスは、トーナメントの1回戦だと思うようにと言いました。そして僕が準決勝でやったように、自分を制御するようにとも言われました。決勝であることを意識せず、自分のゲームプランを遂行すること。これまでの全ての試合でやってきたように、前向きに、気持ちを強く持つようにとも言われました。そして、この瞬間を、この試合を、僕の初のマスターズ1000決勝戦を楽しむように、って」
 
 その師の言葉を、アルカラスは忠実に実践した。

 これが初の大舞台とは思えぬ落ち着きと闘争心で、コートを縦横無尽に駆ける。強打で相手を押し込んでから、さらりと沈めるドロップショットは、もはや彼の代名詞だ。
 
 第1セットを終盤の競り合いを制して先取すると、第2セットは、早々のブレークで加速をつける。

 そして迎えた、最初のチャンピオンシップポイント――。人生で初めて対峙する局面で、彼は、サーブ&ボレーを決めた。
 
「いかにして、マッチポイントでサーブ&ボレーに行なこうと決めたのか?」

 そう問うと18歳のチャンピオンは、下げた目じりに届くほどに口角を上げ、見た人をも幸せな気持ちにさせる満面の笑みで応えた。

「サーブ&ボレーがこの試合のカギになると思っていました。今日の試合ではたくさんやったし、100%に近い確率でポイントを決めていたと思います。マッチポイントでは、キャスパーはリターンポジションをすごく下げていたので、それを見たとき『よし、サーブを彼のバックハンドに打って、ネットに出ていこう』と決めました」

 そして彼は、こう続けた。

「常にチャンスを狙っていけって……それは、ファンカルロスに言われていることなので」。

 18歳11カ月のマイアミ・オープン優勝は史上最年少であり、マスターズ1000全体で見ても、3番目の年少記録だ。
 
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