「彼(バウティスタアグート)がやったことは、この世のものとは思えない」と言うナダルが、この仲間の勝利に奮起しないはずがない。20歳のカナダのエースを、「練習では得ることのできない才能の持ち主」と評するナダルは、相手に払う敬意を自らの力にする。第1セットでは、気合がやや空回りし硬さも見えるシャポバロフ相手に、ミスなく打ち合い第6ゲームのブレークのリードを守った。
第2セットでは硬さも取れたか、左腕から緩急自在のショットを放つシャポバロフが、互角の攻防を見せる。だが、シャポバロフがフォアのクロスで力勝負に挑んでくると、ナダルは「まだまだ早いぞ!」とでも言うようにウイナーを叩き込み咆哮をあげた。
がっぷり四つに組み合ったままなだれ込んだタイブレークでは、割れんばかりの「エスパーニャ! エスパーニャ!」の大声援を背に受けて、ナダルがベースラインからの強打で圧力を掛けていく。シャポバロフも、最初のマッチポイントを驚嘆のパッシングショットで凌ぎ、ナダルの言う「持って生まれた才能」を光らせた。だが、3本目のマッチポイントで、シャポバロフの渾身のフォアがネットを叩く。その刹那、ナダルの身体が、ベースライン後方に書かれた『DAVIS CUP』の文字の上に倒れ込み、その英雄の上に、次々にチームメイトの姿が折り重なった。
「この瞬間を、マドリードの人々と分かち合えて、本当にうれしい。ここにいるチームメンバーは6人だが、実際には遥かに多くの人々が僕たちを支えてくれている。
だから、サポートしてくれた人たちには、感謝しきれない。ものすごくハッピーだ」
優勝会見でのナダルは、母国で栄冠を勝ち取った日々を、「決して忘れることのない一週間だった」と振り返った。
「ワールドカップ型」をうたった初のデビスカップは、賛否両論を巻き起こし、その議論は今も続く。開催地の選定法やスケジュールも含め、改善点が多々あるのは主催者たちも認めるところだ。
それでも、ナダル擁するスペインチームの戴冠で大団円を迎えた今大会は、彼らが誇りとともに“デビスカップの精神”を守った一週間として、テニス史に深く強く刻まれた。
■デビスカップ・ファイナルズ
・決勝
スペイン2-0カナダ
第1試合 R・バウティスタアグート 7-6(3) 6-3 F・オジェ-アリアシム
第2試合 R・ナダル 6-3 7-6(7) D・シャポバロフ
取材・文●内田暁
第2セットでは硬さも取れたか、左腕から緩急自在のショットを放つシャポバロフが、互角の攻防を見せる。だが、シャポバロフがフォアのクロスで力勝負に挑んでくると、ナダルは「まだまだ早いぞ!」とでも言うようにウイナーを叩き込み咆哮をあげた。
がっぷり四つに組み合ったままなだれ込んだタイブレークでは、割れんばかりの「エスパーニャ! エスパーニャ!」の大声援を背に受けて、ナダルがベースラインからの強打で圧力を掛けていく。シャポバロフも、最初のマッチポイントを驚嘆のパッシングショットで凌ぎ、ナダルの言う「持って生まれた才能」を光らせた。だが、3本目のマッチポイントで、シャポバロフの渾身のフォアがネットを叩く。その刹那、ナダルの身体が、ベースライン後方に書かれた『DAVIS CUP』の文字の上に倒れ込み、その英雄の上に、次々にチームメイトの姿が折り重なった。
「この瞬間を、マドリードの人々と分かち合えて、本当にうれしい。ここにいるチームメンバーは6人だが、実際には遥かに多くの人々が僕たちを支えてくれている。
だから、サポートしてくれた人たちには、感謝しきれない。ものすごくハッピーだ」
優勝会見でのナダルは、母国で栄冠を勝ち取った日々を、「決して忘れることのない一週間だった」と振り返った。
「ワールドカップ型」をうたった初のデビスカップは、賛否両論を巻き起こし、その議論は今も続く。開催地の選定法やスケジュールも含め、改善点が多々あるのは主催者たちも認めるところだ。
それでも、ナダル擁するスペインチームの戴冠で大団円を迎えた今大会は、彼らが誇りとともに“デビスカップの精神”を守った一週間として、テニス史に深く強く刻まれた。
■デビスカップ・ファイナルズ
・決勝
スペイン2-0カナダ
第1試合 R・バウティスタアグート 7-6(3) 6-3 F・オジェ-アリアシム
第2試合 R・ナダル 6-3 7-6(7) D・シャポバロフ
取材・文●内田暁