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海外テニス

大坂なおみ、全豪欠場でも市場価値に影響なし!ただしトップ選手としてのタイムリミットは今年の春か<SMASH>

内田暁

2023.01.11

2022年は11大会の出場だったが年収は約68億円。12月には自身のメディア会社を通じて児童書の発売を明かした(写真)。(C)Getty Images

2022年は11大会の出場だったが年収は約68億円。12月には自身のメディア会社を通じて児童書の発売を明かした(写真)。(C)Getty Images

 2018年全米オープンと言えば、大坂が決勝で観客からの大ブーイングを跳ね除けて、憧れのセレナ・ウィリアムズを破った大会。夢を成就し、スターダムに躍り出たその日から、皮肉にも彼女の苦悩と迷走が始まった。

 もう一つのパラドックスは、自らの内面の脆さをさらしたことで、彼女の市場価値は一層高まったことだ。

 米国の経済誌『フォーブス』の調査によると、大坂の2022年の年収は5,110万ドル(約68億円)。これは女性アスリートの中で圧倒的な稼ぎ頭であり、男性アスリートも合わせた総合ランキングでも世界の19位につける。それらの収入の大半は、ナイキやルイ・ヴィトン等のスポンサー収益。さらには自身でマネジメント会社を運営し、スポーツ関連企業に投資も行なっている。

 ちょうど1年前の全豪オープン時、大坂は自身の今後につき、「試合経験が必要だが、ビジネスでもやりたいことが多い」と語り、オフコートでの充実を窺わせていた。
 
 他方でオンコートでの彼女は、内面の脆さをたびたび露呈する。3月、カリフォルニア州開催のBNPパリバ・オープンでは、試合中のファンのヤジに涙し完敗した。

 その直後のマイアミ・オープンでは、セラピストをつけたことを明かし、大会でも決勝進出。良い方向に向かうかに見えたが、直後にストレングス&コンディショニングコーチの中村豊氏と袂を分かち、夏にはウィム・フィセッテコーチとも決別。現時点では新たなコーチやトレーナーはつけておらず、チームなおみは、事実上、解散状態のようだ。

 長く続くコート上の不在と、それらに相反するかのような、メディアや市場での存在感。それら極めて不思議な均衡を読み解く上で、興味深い視座を示したのは、アメリカの大手紙『ワシントンポスト』のエイバ・ワレス記者だ。

 NBAなどの国内競技から、テニスや冬季競技も取材するワレス氏は、「ナオミの市場価値は、コートに立たなくても既に確立されている」と見る。

「アスリートながら弱さを隠さないことで、若い世代の共感を得ている」というのが理由の一つ。

 さらに、米国における彼女の知名度とテニスという競技への関心度を重ねて、次のようにも分析する。
 
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