「テニスファンは、ナオミが最近試合に出ていないことを知っています。ですがアメリカの一般の人は、テニスが常に開催されていることなどを知りません。オリンピックで活躍したアスリートが、長く『金メダリスト』として世間から認識されるように、ナオミも『４度のグランドスラム（四大大会）優勝者』として広く認識されている。ですから彼女の市場価値は、簡単に下がることはないでしょう」

　ワレス氏が語るこの空気感を大坂自身も感得しているとすれば、彼女の関心は、オフコートにシフトしつつあるのかもしれない。
  　全豪オープンを欠場することで、大坂のランキングは60位台まで下がることが予想される。そして、仮に３月末のマイアミ・オープンを欠場もしくは早期敗退すれば、200位台まで落ちる可能性もある。200位台も後半となれば、グランドスラムの予選出場圏外。その地点から再スタートを切る彼女の姿は、現時点では想像しにくいだろう。

　果たして彼女の中に、かつて公言した「可能な限り多くのグランドスラムで優勝する」という夢への渇望が残っているのか？

　一つのタイムリミットは、今年の春になりそうだ。

現地取材・文●内田暁

【画像】「全力を尽くす」ことをテーマに掲げて挑んだ大坂なおみの2022全豪OP厳選ショット！