それまでは「身体を大きくすることで、感覚が変わったり動きが落ちるのではと思っていた」と明かす。だがツアーを転戦するなかで、海外勢とのパワーの差を痛感する機会が増えた。ケガが多かったことも、フィジカル強化を志した理由の一つ。
「感覚が変わるとか、そんなことを心配する以前の段階だったんです」。
今になり綿貫は、数年前の自分を恥ずかしそうに振り返る。果たしてトレーナーの長田光生が帯同して以来、綿貫は自らの変化を感じることができたと言った。
「トレーニングで上げられるウェイトが増えたし、そうすると自信にもなります。実際に試合でも、打ち負けることもなくなりました」
そう語る彼の身体は、確かに目に見えて一回りも二回りも大きくなった。そのフィジカルの成長を促したのは、内面の成長でもあるだろう。
変化への恐れを打破し、自ら次のステージへの一歩を踏み出した。人々の助力への謝意は、いかなる状況でも諦めずにボールを追い、スコアを忘れるほどに目の前のポイントに没頭する姿に現れる。
その姿勢が報われたのが、2本のマッチポイントを凌ぎ逆転勝ちした、今大会の予選2回戦。薄氷を踏む勝利の末に立った予選決勝のコートでは、心技体噛み合うプレーで、世界104位のフアン・パブロ・バリージャス(ペルー)を6-3、6-4で圧倒した。
「うれしいというか……本当に良かったな」
それが試合直後の、綿貫の率直な言葉だった。
ただ次の瞬間には、「少しでも長くこの場所にいたい」と、表情を引き締める。
初めて立つグランドスラム本戦の舞台は、ゴールではなくスタートライン。
心身ともに成長した姿を、世界に示しにいく。
現地取材・文●内田暁
【画像】若手の星・綿貫陽介のサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
「感覚が変わるとか、そんなことを心配する以前の段階だったんです」。
今になり綿貫は、数年前の自分を恥ずかしそうに振り返る。果たしてトレーナーの長田光生が帯同して以来、綿貫は自らの変化を感じることができたと言った。
「トレーニングで上げられるウェイトが増えたし、そうすると自信にもなります。実際に試合でも、打ち負けることもなくなりました」
そう語る彼の身体は、確かに目に見えて一回りも二回りも大きくなった。そのフィジカルの成長を促したのは、内面の成長でもあるだろう。
変化への恐れを打破し、自ら次のステージへの一歩を踏み出した。人々の助力への謝意は、いかなる状況でも諦めずにボールを追い、スコアを忘れるほどに目の前のポイントに没頭する姿に現れる。
その姿勢が報われたのが、2本のマッチポイントを凌ぎ逆転勝ちした、今大会の予選2回戦。薄氷を踏む勝利の末に立った予選決勝のコートでは、心技体噛み合うプレーで、世界104位のフアン・パブロ・バリージャス(ペルー)を6-3、6-4で圧倒した。
「うれしいというか……本当に良かったな」
それが試合直後の、綿貫の率直な言葉だった。
ただ次の瞬間には、「少しでも長くこの場所にいたい」と、表情を引き締める。
初めて立つグランドスラム本戦の舞台は、ゴールではなくスタートライン。
心身ともに成長した姿を、世界に示しにいく。
現地取材・文●内田暁
【画像】若手の星・綿貫陽介のサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』