専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

「平等は不可能でも、ならすことはできるのでは」ケガで初戦途中棄権の西岡良仁が訴える、テニス界の構造改革【全仏OP】<SMASH>

内田暁

2025.05.28

日本人選手にケガが多い要因の一つとして、休息時間の短さを挙げた西岡(※写真は2月のダラス・オープン)。(C)Getty Images

日本人選手にケガが多い要因の一つとして、休息時間の短さを挙げた西岡(※写真は2月のダラス・オープン)。(C)Getty Images

 その中での試みが、先に触れた用具や技術面の変化。さらには「スケジューリング」も、今まで以上に考えなくてはいけないと言った。

「スケジュールの組み方も、試合数を減らすことを視野に入れていかないと、身体的に難しいのかなとの思いはあります。今年も全豪オープンから始まって、デビスカップからクレーシーズンまで試合が続くなか、現状のルールではATPマスターズに出ないといけない。欠場するとペナルティが発生するので、そうなるとやはりマスターズに向けた調整などが必要になってくると思います」

 ここまでに触れてきた、男子テニスのパワー化や日本の地理的不利は、果たして今大会の本戦に出た日本人男子が、西岡1人だったことと関連しているだろうか? その問いには西岡は、慎重に言葉を選びながらこう応じた。

「日本人の若手が出てこないことに関しては、どうしてもケガの多さがあると思います。(錦織)圭くんもちろんそうですけど、僕もだし、島袋将も肉離れだし、(綿貫)陽介はヒザが痛い。(望月)慎太郎も腰痛を持っているし、(坂本)怜も肉離れしているので、この数週間で見ても日本人はほとんどケガをしている。

 個々の原因については僕も全然知らないですし、事情も違うと思います。でも一つ、休む期間の短さは絶対的にあると思いますね。僕もローマの後に日本戻りましたが、ヨーロッパの人だったら時差なく数時間で帰れるところを、僕は半日かけて帰国し、また半日かけてヨーロッパに戻ってくる。アジア圏やオーストラリアの選手たちは、どうしても地理的・時間的に不利になってしまいますよね」
 
 テニス界が長年掛けて構築した強固なシステムが、一朝一夕で変わらないことは、西岡も百も承知。その上で西岡は、アジアの後進たちへの道を広げるためにも、こう言った。

「全員に平等なのは不可能ですが、ならしていくことはできるのでは。出ないといけない大会を減らすのか、ポイントの加算対象になる大会を減らすのか、あるいはATPチャレンジャーとツアーは分けるのか? 色々模索はできるとは思うので、そのあたりは、もう少し考えるべきポイントなんじゃないかなと思います」

現地取材・文●内田暁

【動画】西岡VSポピリンの「全仏オープン」1回戦ハイライト

【関連記事】西岡良仁が全仏OP初戦で途中棄権。大会前からの腰の不調に「案の定、痛くなった」と無念の決断<SMASH>

【関連記事】日米における“コーチ観の違い”とは? ツアーコーチ西岡靖雄が痛感「ジャパンオリジナルを模索する必要がある」<SMASH>
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号