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海外テニス

ロシアによる侵攻を「人々が忘れ始めている」 ウクライナのテニス選手が母国の窮状を受けて今思うこと<SMASH>

内田暁

2024.06.09

「ウクライナの扱いはどんどん小さくなっているが、状況は何も改善されていません」と冷静に現状を語る。(C)Getty Images

「ウクライナの扱いはどんどん小さくなっているが、状況は何も改善されていません」と冷静に現状を語る。(C)Getty Images

「今、何より怖く感じるのは……」と切り出し、彼女は続ける。

「人々が、ウクライナのことを忘れ始めているということです。今やウクライナのニュースは、世界のトップニュースではありません。私は、アメリカやヨーロッパなど海外の多くのニュース媒体も見るのですが、ウクライナの扱いはどんどん小さくなっているのを実感しています。ですが、状況は何も改善されていません。今でもミサイル攻撃により、ウクライナの人々は命を落としているんです。

 そのなかで、先日、アメリカがウクライナへの追加支援を発表してくれたのは、うれしいニュースでした。防空用ミサイルも配備されるという話しもあるので、これにより事態が改善してくれればと思っています」
 
「人生で最悪な日」や母国の窮状を語る彼女の口調は、同胞のマルタ・コスチュク(20位)らに比べると冷静で、特定の誰かを糾弾するような激しさはない。

 ただ、初めてラケットを手にした時の興奮を、姉妹で競う喜びを、そして、休暇で過ごしたクリミアでの日々を、情景が浮かぶようにビビッドに回想する彼女の言葉には、育った土地や家族への郷愁と愛情が、温かく灯っていた。

 そしてもちろん、「未だ見えない」と言っていた侵攻の終わりが、一日も早く訪れることへの、切なる願いも――。

現地取材・文●内田暁

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