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海外テニス

フェデラーのエキジビが史上最多動員を達成! 父母、そして亡きコーチへ…この地で果たしたかった南アへの思い

内田暁

2020.02.09

エキジビションダブルスではビル・ゲイツとフェデラーのペアが実現。(C)Getty Images

エキジビションダブルスではビル・ゲイツとフェデラーのペアが実現。(C)Getty Images

 尊敬する友人にして師の急逝が、やんちゃで知られた才能豊かな若者を成熟させた……という解釈は、いささか安易に響くかもしれない。だがその頃からフェデラーは、今の“ロジャー・フェデラー”としての道を歩み出した。

 翌2003年には「子どもの頃からの夢」であるウインブルドンを制し、2位でシーズンを終える。ファンデーションを設立したのも、この年のこと。「自身のルーツでもある南アフリカを支援したい。子どもたち……特に小学校に上がる前の子どもたちに、教育とスポーツに触れる機会を与えたい」というのは、ファンデーション設立時からフェデラーが力を入れてきた理念だという。
 
 その時から、16年半――。この日の実現を切望したのは、もちろんフェデラーだけではない。販売開始の10分後にチケットは完売するほどに、南アフリカの人々もフェデラーの帰還を心待ちにした。

 その歓待と興奮のなか、フェデラーとナダルの2人は、高質のプレーの数々で大観衆の期待に応える。フェデラーが背面ボレーで観客を狂気させれば、ナダルは強風を切り裂くパッシングショットでフェデラーの落胆の笑みを誘った。満席のスタジアムを魅了した「魔法のような夜」は、2時間超えのフルセットの熱戦と、それに続く音楽と踊りの宴で幕を閉じた。

 この一晩で集まった募金は、350万ドル(約3億8400万円)に至ったという。小さなクラブハウスで、20人ほどの観客の前でも行なってきたチャリティーマッチは、この夜、テニスの試合として史上最多記録となる51,954人を集客した。

文●内田暁
 
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