共にまだ20代前半にして近年の男子テニス界を牽引している現世界1位のヤニック・シナー(イタリア/23歳)と2位のカルロス・アルカラス(スペイン/22歳)。彼ら2人に最高峰の舞台である四大大会で勝利した実績を持つ数少ない選手の1人が、これまでにツアー20勝を挙げている29歳の名手ダニール・メドベージェフ(ロシア/15位)だ。
かつて“新世代の旗手”として注目されたメドベージェフが頭角を現したのは、2000年代後半から約10年以上にわたって黄金期を築いたビッグ4(ジョコビッチ、フェデラー、ナダル、マリー)時代の終盤だった。
21年全米オープン決勝でジョコビッチの年間グランドスラム(同一シーズンで全ての四大大会を制すこと)を阻止すると、その半年後の22年2月には、ビッグ4以外の選手として04年以来約18年ぶりとなる世界1位を記録。この時はメドベージェフやアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現3位/28歳)をはじめとした“ネクストジェン”が次代のテニス界を担うと期待されていた。
しかしそこにシナーとアルカラスが台頭し、今や彼ら2人の“2強時代”になりつつある。事実、四大大会では直近7大会を両者がタイトルを独占。ATP(男子プロテニス協会)公式サイトによると、メドベージェフも「今はシナーとアルカラスがトップで、他の誰よりも良いプレーをしている」と認めざるを得ない様子だ。
「アルカラスが17歳でツアーデビューした時、誰もが『なんでこんなに強いショットを打てるんだ? 自分は10時間練習してもこんなふうにはならないのに』って驚いていた。彼が全くミスをしない日は、僕らに勝ち目はない。それはシナーも同じで、本当に強い選手だ」
それでも「シナーとアルカラスが中心にいる景色」も一瞬で変わってしまう可能性があるとメドベージェフは指摘する。かつてテニス界を独占的に支配すると思われていたフェデラーとナダルの間にジョコビッチが割って入り、結果的にはジョコビッチが四大大会優勝回数でフェデラーとナダルを超えた事例があるからだ。
「僕もフェデラーとナダルの時代を覚えている。ナダルが20歳か21歳の時にはすでに全仏オープンを2、3回制していた。ナダルがウインブルドンで初めて優勝した時、それが全仏以外では初のグランドスラムタイトルだった。そのため誰もが『これからはフェデラーとナダルが全てのタイトルを分け合う』と思っていたが、少し遅れてジョコビッチが現れ、最終的には彼ら以上に四大大会で優勝した」
だからこそシナーとアルカラスに次ぐ“第3の男”を決して侮ってはならないとメドベージェフ。さらには「彼らは強い選手だけど、同時に負けることもあって無敵というわけではない。だからコートに立ったら常に彼らには勝つつもりで挑まなければならない」と、自らも引き続き2人の若きヒーローに立ち向かっていく意欲を口にした。
果たしてシナーとアルカラスの2強時代を脅かす第3の男は誰になるのか。その答えは今後も繰り広げられるであろうツアーでの熱い戦いが示してくれるはずだ。
文●中村光佑
【画像】ヤニック・シナーが悲願の全豪オープン優勝!3時間44分にも及んだメドベージェフとの熱戦を厳選ショットでプレイバック!
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かつて“新世代の旗手”として注目されたメドベージェフが頭角を現したのは、2000年代後半から約10年以上にわたって黄金期を築いたビッグ4(ジョコビッチ、フェデラー、ナダル、マリー)時代の終盤だった。
21年全米オープン決勝でジョコビッチの年間グランドスラム(同一シーズンで全ての四大大会を制すこと)を阻止すると、その半年後の22年2月には、ビッグ4以外の選手として04年以来約18年ぶりとなる世界1位を記録。この時はメドベージェフやアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現3位/28歳)をはじめとした“ネクストジェン”が次代のテニス界を担うと期待されていた。
しかしそこにシナーとアルカラスが台頭し、今や彼ら2人の“2強時代”になりつつある。事実、四大大会では直近7大会を両者がタイトルを独占。ATP(男子プロテニス協会)公式サイトによると、メドベージェフも「今はシナーとアルカラスがトップで、他の誰よりも良いプレーをしている」と認めざるを得ない様子だ。
「アルカラスが17歳でツアーデビューした時、誰もが『なんでこんなに強いショットを打てるんだ? 自分は10時間練習してもこんなふうにはならないのに』って驚いていた。彼が全くミスをしない日は、僕らに勝ち目はない。それはシナーも同じで、本当に強い選手だ」
それでも「シナーとアルカラスが中心にいる景色」も一瞬で変わってしまう可能性があるとメドベージェフは指摘する。かつてテニス界を独占的に支配すると思われていたフェデラーとナダルの間にジョコビッチが割って入り、結果的にはジョコビッチが四大大会優勝回数でフェデラーとナダルを超えた事例があるからだ。
「僕もフェデラーとナダルの時代を覚えている。ナダルが20歳か21歳の時にはすでに全仏オープンを2、3回制していた。ナダルがウインブルドンで初めて優勝した時、それが全仏以外では初のグランドスラムタイトルだった。そのため誰もが『これからはフェデラーとナダルが全てのタイトルを分け合う』と思っていたが、少し遅れてジョコビッチが現れ、最終的には彼ら以上に四大大会で優勝した」
だからこそシナーとアルカラスに次ぐ“第3の男”を決して侮ってはならないとメドベージェフ。さらには「彼らは強い選手だけど、同時に負けることもあって無敵というわけではない。だからコートに立ったら常に彼らには勝つつもりで挑まなければならない」と、自らも引き続き2人の若きヒーローに立ち向かっていく意欲を口にした。
果たしてシナーとアルカラスの2強時代を脅かす第3の男は誰になるのか。その答えは今後も繰り広げられるであろうツアーでの熱い戦いが示してくれるはずだ。
文●中村光佑
【画像】ヤニック・シナーが悲願の全豪オープン優勝!3時間44分にも及んだメドベージェフとの熱戦を厳選ショットでプレイバック!
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