男子テニスツアーのマスターズ1000シリーズ「ロレックス上海マスターズ」(10月1日~12日/中国・上海/ハードコート)は大会最終日の現地12日にシングルス決勝を実施。予選勝者で世界ランキング204位のバレンティン・バチェロット(モナコ)が、同54位のアルテュール・リンダークネシュ(フランス)を4-6、6-3、6-3で下し、記念すべきツアー初優勝を飾った。
従兄弟同士であり、米カレッジテニスのテキサスA&M大学でもチームメイトかつ先輩後輩の関係にあった両者。大注目の“身内対決”は、世界で2番目に国土面積の小さいモナコ出身の26歳が劣勢から粘り強さを発揮し、30歳の従兄からの鮮やかな逆転勝利で栄冠をつかみ取った。
試合の序盤はミスが重なり、第3ゲームでブレークを許して第1セットを落としたバチェロットだったが、シーソーゲームとなった第2セットは終盤の第8ゲームで値千金のブレークを奪ってセットオールに。勝負のファイナルセットは力強いフォアハンドを軸に主導権を握り、2度のブレークに成功して2時間14分の熱戦を物にした。
実は今大会、バチェロットは世界ランキングの関係から元々予選にすら入れない状況だった。ところがジョアオ・フォンセカ(ブラジル/同43位)が欠場し、代替選手としてルカ・ナルディ(イタリア/同88位)が本戦入りした結果、補欠だったバチェロットが予選に繰り上がったのだ。
予選2試合を勝ち抜いたバチェロットは、本戦1回戦でラスロ・ジェレ(セルビア/同82位)、2回戦でアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン/同17位)を破ると、3回戦はトマーシュ・マハーチュ(チェコ/同23位)の途中棄権で勝利。勢いそのままに4回戦でタロン・フリークスポール(オランダ/同31位)、準々決勝でホルガー・ルネ(デンマーク/同11位)を下し、準決勝では四大大会24勝を誇る元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)から大金星を挙げて決勝へ駒を進めた。
そして最後はノーシードから快進撃を見せてきたリンダークネシュも撃破。予選からの9試合のうち6試合で1セットダウンからの逆転勝利を収めたバチェロットは、1968年のオープン化以降でモナコ人選手として初となるツアータイトルを四大大会に次ぐマスターズ1000の大舞台で獲得するとともに、ATPツアーが創設された1990年以降、同カテゴリーで史上最も低いランキングでの優勝者となった。オンコートインタビューでは次のように喜びを語っている。
「信じられないし、今何が起きているのかも本当にわからない。夢を見ているわけでもないのに、ただただクレイジーだ。この2週間を通して、自分のプレーには本当に満足しているし、キャリアの初期から支えてくれた全ての人たちに心から感謝している。結果としては勝者と敗者に分かれたけど、従兄弟同士の対決になった今日は2人とも勝者だと言える。1つの家族が勝ち、テニス界にとっても信じられないようなストーリーが生み出された」
何ともドラマチックな結末を迎えた今年の上海オープン。まさに“テニス版おとぎ話”と呼ぶにふさわしい物語となった。
文●中村光佑
【動画】従兄弟対決となったバチェロット対リンダークネシュの上海マスターズ決勝ハイライト
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試合の序盤はミスが重なり、第3ゲームでブレークを許して第1セットを落としたバチェロットだったが、シーソーゲームとなった第2セットは終盤の第8ゲームで値千金のブレークを奪ってセットオールに。勝負のファイナルセットは力強いフォアハンドを軸に主導権を握り、2度のブレークに成功して2時間14分の熱戦を物にした。
実は今大会、バチェロットは世界ランキングの関係から元々予選にすら入れない状況だった。ところがジョアオ・フォンセカ(ブラジル/同43位)が欠場し、代替選手としてルカ・ナルディ(イタリア/同88位)が本戦入りした結果、補欠だったバチェロットが予選に繰り上がったのだ。
予選2試合を勝ち抜いたバチェロットは、本戦1回戦でラスロ・ジェレ(セルビア/同82位)、2回戦でアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン/同17位)を破ると、3回戦はトマーシュ・マハーチュ(チェコ/同23位)の途中棄権で勝利。勢いそのままに4回戦でタロン・フリークスポール(オランダ/同31位)、準々決勝でホルガー・ルネ(デンマーク/同11位)を下し、準決勝では四大大会24勝を誇る元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)から大金星を挙げて決勝へ駒を進めた。
そして最後はノーシードから快進撃を見せてきたリンダークネシュも撃破。予選からの9試合のうち6試合で1セットダウンからの逆転勝利を収めたバチェロットは、1968年のオープン化以降でモナコ人選手として初となるツアータイトルを四大大会に次ぐマスターズ1000の大舞台で獲得するとともに、ATPツアーが創設された1990年以降、同カテゴリーで史上最も低いランキングでの優勝者となった。オンコートインタビューでは次のように喜びを語っている。
「信じられないし、今何が起きているのかも本当にわからない。夢を見ているわけでもないのに、ただただクレイジーだ。この2週間を通して、自分のプレーには本当に満足しているし、キャリアの初期から支えてくれた全ての人たちに心から感謝している。結果としては勝者と敗者に分かれたけど、従兄弟同士の対決になった今日は2人とも勝者だと言える。1つの家族が勝ち、テニス界にとっても信じられないようなストーリーが生み出された」
何ともドラマチックな結末を迎えた今年の上海オープン。まさに“テニス版おとぎ話”と呼ぶにふさわしい物語となった。
文●中村光佑
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