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国内テニス

ケガと低迷を乗り越え…田口涼太郎が全日本選手権で単複2冠! 複は野口とのペアで、女子は小堀/山﨑が初V<SMASH>

前道右京(スマッシュ編集部)

2025.10.13

右足首の靱帯損傷やヒジの痛みなど、度重なるケガを乗り越えた田口涼太郎が、節目の第100回大会で天皇杯を手にした。写真:滝川敏之

右足首の靱帯損傷やヒジの痛みなど、度重なるケガを乗り越えた田口涼太郎が、節目の第100回大会で天皇杯を手にした。写真:滝川敏之

 100回目を迎えた「全日本テニス選手権」(正式名称:三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権100th Supported by 橋本総業ホールディングス)が10月5日~12日に東京・有明テニスの森公園(ハードコート)で開催され、大会最終日となる12日には、男子シングルス決勝と男女ダブルス決勝が実施された。

 初対戦となった男子シングルス決勝では、第8シードの田口涼太郎がノーシードの市川泰誠を6-4、7-5のストレートで破り初優勝を飾った。

 記念すべき第100回目の天皇杯を手にした田口だが、その道のりは決して順風満帆ではなかった。

 今年3月に右足首の靭帯を負傷してツアーを離脱。6月に復帰を果たすも今度はヒジを痛め、「ずっと良い形でプレーできていなかった」と振り返る。2024年2月にマークしたキャリアハイの世界ランキング536位も現在800位まで後退していた。

 そのため、大会前はランキング回復を優先してITFツアーに専念し、全日本選手権はスキップする予定だったという。しかし、コーチから「全日本で優勝した選手は、その後も上がっている。タイトルを取って自信をつけよう」と背中を押され、今回の出場を決断した。
 
 今大会での快進撃を支えたのが、ケガの期間中に取り組んだ“柔軟トレーニング”だった。「もともと身体が硬いタイプ」と話す田口は、フォアハンドを軸にしたアグレッシブなプレーが持ち味。トレーナーから「そのプレーで身体が硬いままだと、またケガをするよ」と指摘され、柔軟性強化に着手した。ケガの予防だけでなく、肩の可動域を広げたことでサービスの威力が増し、コートカバーリング力も格段に向上したという。

 決勝まで3度のフルセットマッチを制して勝ち上がった田口。同年代の市川との頂上決戦でも、その成長ぶりを存分に発揮した。序盤から積極的に攻め、第1ゲームでいきなりブレークを奪う。強化されたサービスも鋭いフラット、キレのあるスライスで難なくキープ。テンポよく1セットを先取した。

 第2セットは、市川に左利きの力強いサービスとボレーで反撃され、2-5とリードを許す展開に。しかし田口は「もう一度仕切り直して、フォアで攻めよう」と気持ちを奮い立たせ、4ゲーム連取で一気に逆転。最後は4度目のマッチポイントで、フォアの強打からボレーを叩き込み勝負を決めた。

 オンコートインタビューでは「すごくホッとしている」と安堵の笑みを見せた田口。今後については「グランドスラムに出場できるようになりたい。そのためにもっとトレーニングを積み重ねて、フィジカルで海外の選手たちに負けないようにしたい」とさらなる飛躍を誓った。

 節目の大会でつかんだ初タイトル。苦境を乗り越えた田口が、再起への道を力強く歩み出した。
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