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海外テニス

相次ぐトップ選手欠場の一方で、異常な選手層の厚さ…東レPPOに垣間見る女子テニスツアーの裏事情<SMASH>

内田暁

2025.10.23

内島萌夏は現在世界81位だが、ジャパンOPと東レPPOにはワイルドカードで出場した。中国のWTA1000から日本に転戦する選手が多く、カットラインが非常に高かった。写真:滝川敏之

内島萌夏は現在世界81位だが、ジャパンOPと東レPPOにはワイルドカードで出場した。中国のWTA1000から日本に転戦する選手が多く、カットラインが非常に高かった。写真:滝川敏之

 多くのトップ選手たちが、直前で出場を取りやめた。一方で、出場選手全体の層は厚い。

 現在、東京で開催中のテニス大会「東レパン パシフィックオープン」(東レPPO)。そこで見られるこれらの現象には、今年のWTA(女子テニス協会)ツアーの動向や変更点、そして選手たちの思いが映し出されている。

 世界5位のジェシカ・ペグラに6位のジャスミン・パオリーニ、そして16位の大坂なおみ――。今大会直前で出場を取りやめた選手は、合計9名に上った。理由は様々ではあるが、根底にあるのは、今がシーズン終盤だということだ。

 1月にスタートした長いWTAツアーシーズンも、来週で一旦の終わりを迎える。その後に控えるのは、年間上位8選手による「WTAファイナルズ」のみだ。

 上位選手たちにとって、このツアーファイナル出場は大きな目標であり、シーズン終盤を戦うモチベーションである。それは換言すれば、既にツアーファイナルの出場権を得た選手には、無理して他の大会に出る理由がないということだ。

 ペグラとパオリーニはいずれも、直近にツアーファイナル出場を確実にし、その直後に東レPPOの欠場を表明している。逆に今大会最もモチベーションが高いのが、ファイナル出場レース9位につけるエレーナ・ルバキナだろう。今大会でベスト4以上に入れば、彼女は最終戦への切符を手にできるからだ。
 
 なお、大坂なおみの欠場は、先週の「ジャパンオープン」で負ったケガが理由。シーズン終盤のこの時期、大坂に限らずどの選手も満身創痍なのも、また事実だ。

 他方で前述したように、今年東京に足を運んだ選手は多く、そのレベルも高い。特に予選出場選手の層の厚さは、昨年と比べると雲泥の差だ。

 昨年の同大会は予選にエントリーする選手も少なく、最終的にランキング1000位台の選手たちもワイルドカード(主催者推薦枠)で出ることができたほど。対して今年は、エントリー時に38位のマッカートニー・ケスラーが、本戦ドローのラストイン。

 予選のラストインは、140位だったアリナ・チャラエワである。100位台後半の柴原瑛菜や日比野菜緒らは、予選に出るのにもワイルドカードを必要とした。

 実はこの傾向は、前週に大阪市で開催された、ジャパンオープンでも見られていた。ジャパンオープンはWTA250という、東レPPO(WTA500)に比べると一段階グレードの低い大会。同じ週には中国・寧波で、WTA500大会も開かれていた。

 それでも今年は、多くのランキング2桁選手が大阪を訪れる。トップ100の内島萌夏ですら、ジャパンオープン出場にワイルドカードを要したほどだ。
 
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