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海外テニス

過密日程に対する不満の声に元全米女王のラドゥカヌが異議「仕事だから、やらなければならない」<SMASH>

中村光佑

2025.12.03

過密化するツアースケジュールに不満を示す選手が多い中、ラドゥカヌは文句を言わない方が「若い世代への良い手本になる」と語る。(C)Getty Images

過密化するツアースケジュールに不満を示す選手が多い中、ラドゥカヌは文句を言わない方が「若い世代への良い手本になる」と語る。(C)Getty Images

 周知の通り近年のテニスツアーは男女共にスケジュールが過密化の一途をたどっており、カルロス・アルカラス(スペイン/男子世界ランク1位)やイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子2位)を筆頭にトップ選手からも不満の声が相次いでいる。中でも四大大会に次ぐグレードで、従来の1週間から2週間に開催期間が一部拡張されたATP・WTA1000大会には批判が集中している印象だ。

 しかし、2021年全米オープンで四大大会初優勝を経験した女子元10位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/23歳/現29位)は、そうした風潮に違和感を覚えている様子。海外メディア『Tennis 365』によると、彼女は「若い世代にとってテニスのイメージを損ねてしまいかねない」ため、「ツアースケジュールには文句を言うべきではない」と考えている。

「私たちは与えられた環境の中でプレーできていて、そのおかげで素晴らしい生活が送れている。もちろん、ツアーの全てが華やかというわけではなく、非常に厳しい時期には心身ともに疲弊したり、身体中に痛みを感じたりすることもあるけど、それに対してどうしろっていうの? 普通の仕事でも上司に何かを命じられる人がいるでしょう。でも、それは仕事だから、やらなければならない」

「もし私たちが“文句を言わない”という態度を示せば、それはテニスを始めようとしている人々、特に若い世代への良い手本になると思う。逆に、トップ選手たちがスケジュールに文句ばかり言っていたら、必ずしも憧れの対象にはならないと思う」
 
 多くの選手が現行の過密日程に反発していることを踏まえると、ラドゥカヌの意見は珍しいと言える。自身が度重なるケガで長期の離脱を経験したことも、こうした考え方に影響しているのかもしれない。

 テニス選手として「プレーする」という仕事に専念したいと意気込むラドゥカヌは、かつて男子元世界王者ラファエル・ナダル(スペイン)を指導したフランシスコ・ロイグ・コーチ(スペイン)の下で復活の兆しを見せつつある。今年3月のマイアミ(WTA1000)ではベスト8に進出し、7月のワシントン(WTA500)では4強入り。自己最多となる年間マッチ28勝を挙げ、年初に60位だった世界ランキングもトップ30へ引き上げた。

 彼女は来季に向けたオフシーズンの取り組みについてもこう明かしている。

「彼(ロイグ)からは、“より良いエマ・ラドゥカヌ”を作ること、そして基礎レベルを向上させることにもっと注力してほしいと言われている。今取り組んでいるのは、自分の持っている力を大きくは変えずに、より洗練された技術や打つタイミング、フットワークを駆使してプレーの質を高め、試合を支配する力をもっと身に付けること。理想としては、相手についてあれこれ考えず、自分のプレーを実行して勝てるようになりたい」

 過酷なツアーの中で、さらなる高みを目指す23歳のヒロイン。来季の活躍に期待だ。

文●中村光佑

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