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海外テニス

望月慎太郎と島袋将がウインブルドンで初の予選突破!異なる道を歩んできた二人の“共通する信念”<SMASH>

内田暁

2023.07.01

島袋(左)と望月(右)は予選決勝をストレート勝利し初の本選出場を決めた。試合後には顔を合わせ、硬い握手を交わす。写真:内田暁

島袋(左)と望月(右)は予選決勝をストレート勝利し初の本選出場を決めた。試合後には顔を合わせ、硬い握手を交わす。写真:内田暁

 わずか3分の時を隔て、二人はウインブルドン本戦の舞台へと、肩を並べるように駆けこんだ。

 ウインブルドン予選の決勝戦――。望月慎太郎はウイナーを叩き込むと、控え目に拳を掲げ、勝利の時を淡々と迎えた。

 その数分後、コート3面を挟んだ7番コートでは、島袋将がサービスウイナーを決め、両ヒザを芝につき歓喜の味を噛みしめる。

 ほどなくそれぞれの試合コートを離れた二人は、取材エリアで顔を合わせると、がっちり硬い握手を交わした。

 年齢も、ジュニア時代に歩んだ道も大きく異なる二人の足跡が、この時、“テニスの聖地”への入り口で重なり合った。

「最近はATPチャレンジャーで一緒になることも多かったし、慎太郎がチャレンジャーで優勝したら、直後に将も優勝した。お互い意識しているし、将には刺激になっていると思いますよ」

 現在、島袋のマネージャーを勤める元プロテニスプレーヤーの佐藤文平氏は、両者の関係をそう明かした。

 実際に望月も、「最近は大会で一緒になることも多いし、練習もしてもらったりと親しくなってきました」と語る。
 
 3週間前に20歳の誕生日を迎えたばかりの望月は、4年前のウインブルドンジュニア王者。13歳の時に、盛田正明テニスファンドの支援を受けIMGアカデミーに留学した、いわばテニスエリートである。

 もっとも望月は当時から痩身小柄で、フィジカル面で恵まれていた訳ではない。そんな彼の武器は、“頭脳”。相手の弱点を突き、緩急と配球の妙でミスも誘い、機を見極めてはネットに詰めてボレー鋭く仕留める。高い分析力と戦略性、そして相手に応じて自身のプレーも柔軟に変えられる適応力こそが、彼を世界のトップジュニアたらしめた要因だ。

 ただそのような柔軟性は、環境や対戦相手に依存しやすい。ジュニアを卒業し大人の世界に飛び込んだ望月は、あらゆる情報を再収集し、新たにデータ解析をする必要があった。もちろん戦術をはじき出しても、フィジカルや技術不足で実践できないこともあっただろう。

 IMGアカデミーの先輩である錦織圭が、「しんちゃん(望月の愛称)は読めないですね。直ぐに上に行くかもしれないし、かなり時間が掛かるかもしれないし」と言ったのも、そのような理由からだった。
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