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海外テニス

【伊達公子】会場での練習時間を多く確保するには?工夫なしでは生き残っていけない世界<SMASH>

伊達公子

2023.12.22

「練習できた者が勝ち」の世界だと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「練習できた者が勝ち」の世界だと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 前回はテニス会場を心地良い場所にするための工夫を紹介しました。今回は会場での練習について。選手は大会から大会へと移動するため、会場での練習は重要です。しかし、コート面数が少ない大会では練習コートの確保に苦労することになり、そういう大会は意外に多くあります。

 そんな時、どうすれば練習できるのかを考えなくてはいけません。スタッフに「無理」と言われて、「はい。無理ですね」と引き下がるのは日本人ぐらいです。色々な方法を使って、コートを確保しなくてはいけません。「練習できた者が勝ち」の世界です。

 私が18歳の時に行なっていたのが、「Date」で1面取り、「Kimiko」で1面取る方法。日本人の名前も、当時はまだ私の名前を認識してもらえるレベルではなかっただけにわからないので、バレませんでした(笑)。JWT50で開催した1.5万ドルの大会では、今でも同じ方法を使っていた海外の選手がいたようです。

 他にも工夫が必要なのが、練習ボール。1.5万ドルの大会では練習ボールは1人2球で、2人で練習したら4球でした。1球でも多くボールを使いたい、状態の良いボールで練習したいと思いますよね。そんな時、どうしますか? 

 私は「ボールを失くした」と言ったことがありました。その時はもらえませんでしたね。どうすれば交換してくれるのか、こっそり増やしてくれるのか、頭を使って考えることです。工夫しなくては生き残っていけません。
 
 大前提として、周りを見て気付く力も重要です。「なぜ朝に練習している人が、午後も練習できているのか?」と気付くことができれば、自分もそうできるように工夫しようと思えます。気付けなければ、言われたままを受け入れるだけになり、練習の機会を失います。「良いパフォーマンスにつながるためにできることはあるか?」ということを探りながら周りを見ることです。

 会場での練習相手についてですが、実はかなり早くから決まっています。だいたい1週間ぐらい前でしょうか。会場で翌週も同じ大会に出場する選手がいたら、練習する約束をその時にしておきます。4、5日前にはほぼ決まっている状態です。

 練習は自分の調子を上げられる、相性の良い選手と行ないたいものです。お互い気持ちよく練習できるとか、ドタキャンしない人とか。練習を滞りなく進めることができる選手を確保しておくと安心なので、そういう選手の連絡先を聞いておくことは大事です。

 前日に相手を探そうとすると、結局見つからずに日本人同士で練習をするということになりかねません。私はプロのなった当時、コーチに「日本人と練習をするな」と言われていました。海外の選手はボールのスピードも球種も違うので、せっかく練習できるチャンスを生かすべきだと。実際、その通りだと思いました。

 日本人同士で練習するのは安心ですし、手間も少なくてすみます。しかし、強くなるために必要なことを考えると、取るべき行動は自ずと見えてくるでしょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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