四大大会史上最多タイの24勝やツアー100タイトルをはじめ、数々の輝かしい功績を残してきた男子テニス元世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位/38歳)。彼はロジャー・フェデラー(スイス/43歳)とラファエル・ナダル(スペイン/39歳)と共にテニス界の黄金時代を築き上げ、類まれな強さと絶大なカリスマ性を兼ね備えた3人はやがて“ビッグ3”と称される存在になった。
しかし3人の中で一番年下かつプロ転向も遅かったジョコビッチは、フェデラーとナダルがスポーツ界史上最高とも称される美しきライバル関係を築き上げていた中で、自分だけが“蚊帳の外”にいたように感じていたと率直に明かす。
先日インタビュー番組『Failure of Champions』に出演したジョコビッチは「僕はフェデラーとナダルほど愛されてはいなかった」と前置きし、自身のキャリア初期を振り返りつつこう続けた。
「最初の頃の僕はただ彼らより上手くなりたかっただけだった。プレーしていても、(2人と比べると)自分が望まれていない子どもであるかのように感じていた。それに対してなぜだろうと自問し、傷ついたこともあった。僕は振る舞いを変えればファンは自分を受け入れてくれるだろうと思ったが、そうはならなかった」
「彼らみたく愛されなかったのは、僕がそこにいるべきじゃなかったからだ。僕は“世界1位になる”と名乗り出た、小さな少年だった。多くの人がそれを快く思っていなかった」
フェデラーとナダルの間に割って入ったジョコビッチは、ラケット破壊等コートでの振る舞いが度々問題視され、何かと批判を浴びることが多かったのは事実だ。最近でも2020年全米オープンでの失格処分や22年の新型コロナ・ワクチン未接種によるオーストラリア入国問題など、テニス界ないしは世界を震撼させる騒動を起こしたケースもあった。
ただそうした行動は全て、自分の信念を貫いた結果だったとジョコビッチは語る。
「もちろん、僕は多くの間違いを犯す人間だ。それでも常に心を込めて、善意を持って生き、そして最終的には自分らしくいようと努めてきた」
既報の通りビッグ3は先日の全仏オープン(四大大会)で開催されたナダルの引退セレモニーで再会。彼らが互いに言葉を交わしながら温かく称え合っていた姿は大きな反響を呼んだ。その証拠にジョコビッチは後を追ってきたライバル2人にはネガティブな感情は一切ないと言う。一方でより良い関係性を築いていたのは男子ツアー最多の60度の対戦を経験したナダルの方だったと告白した。
「誰かが最大のライバルだからといって、その人に危害を加えたり、憎んだり、コート上でその人を倒すために何かをしたいと思ったりしたわけではなかった。我々は勝利のために戦い、より強い方が勝利した」
「僕は2人を常に尊敬してきたし、それは今でもそうだ。彼らの悪口を言ったことは一度もないし、これからも決して言わない。ただ僕自身はいつもナダルの方が相性は良かった」
愛されずとも、自分の信じた道を貫き、勝ち続けたジョコビッチ。その歩みは、やがてフェデラーとナダルの背を追うものから、彼らの記録を超えるものへと変わっていった。
文●中村光佑
【画像】テニス史上に残る名プレーヤー!ノバク・ジョコビッチの厳選ショットをお届け!
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しかし3人の中で一番年下かつプロ転向も遅かったジョコビッチは、フェデラーとナダルがスポーツ界史上最高とも称される美しきライバル関係を築き上げていた中で、自分だけが“蚊帳の外”にいたように感じていたと率直に明かす。
先日インタビュー番組『Failure of Champions』に出演したジョコビッチは「僕はフェデラーとナダルほど愛されてはいなかった」と前置きし、自身のキャリア初期を振り返りつつこう続けた。
「最初の頃の僕はただ彼らより上手くなりたかっただけだった。プレーしていても、(2人と比べると)自分が望まれていない子どもであるかのように感じていた。それに対してなぜだろうと自問し、傷ついたこともあった。僕は振る舞いを変えればファンは自分を受け入れてくれるだろうと思ったが、そうはならなかった」
「彼らみたく愛されなかったのは、僕がそこにいるべきじゃなかったからだ。僕は“世界1位になる”と名乗り出た、小さな少年だった。多くの人がそれを快く思っていなかった」
フェデラーとナダルの間に割って入ったジョコビッチは、ラケット破壊等コートでの振る舞いが度々問題視され、何かと批判を浴びることが多かったのは事実だ。最近でも2020年全米オープンでの失格処分や22年の新型コロナ・ワクチン未接種によるオーストラリア入国問題など、テニス界ないしは世界を震撼させる騒動を起こしたケースもあった。
ただそうした行動は全て、自分の信念を貫いた結果だったとジョコビッチは語る。
「もちろん、僕は多くの間違いを犯す人間だ。それでも常に心を込めて、善意を持って生き、そして最終的には自分らしくいようと努めてきた」
既報の通りビッグ3は先日の全仏オープン(四大大会)で開催されたナダルの引退セレモニーで再会。彼らが互いに言葉を交わしながら温かく称え合っていた姿は大きな反響を呼んだ。その証拠にジョコビッチは後を追ってきたライバル2人にはネガティブな感情は一切ないと言う。一方でより良い関係性を築いていたのは男子ツアー最多の60度の対戦を経験したナダルの方だったと告白した。
「誰かが最大のライバルだからといって、その人に危害を加えたり、憎んだり、コート上でその人を倒すために何かをしたいと思ったりしたわけではなかった。我々は勝利のために戦い、より強い方が勝利した」
「僕は2人を常に尊敬してきたし、それは今でもそうだ。彼らの悪口を言ったことは一度もないし、これからも決して言わない。ただ僕自身はいつもナダルの方が相性は良かった」
愛されずとも、自分の信じた道を貫き、勝ち続けたジョコビッチ。その歩みは、やがてフェデラーとナダルの背を追うものから、彼らの記録を超えるものへと変わっていった。
文●中村光佑
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