現役わずか1年半の間に残した戦績が11戦8勝(2着2回、5着1回)。重賞6勝、うちGⅠ2勝。短いながらも深く鮮やかな爪痕を刻んだ稀有な名牝、それがノースフライトである。
ノースフライトは北海道・浦河町にある大北(たいほく)牧場だが、母のシャダイフライト(父ヒッティングアウェー)は千葉県を本拠としていた時期の社台ファーム生まれ。18歳という高齢になったことなどから1990年に行なわれた社台グループの繁殖セールに上場され、大北牧場の場主・斎藤敏雄によって410万円で落札された。
【動画】春秋マイルGⅠ制覇!ノースフライトが伝説を刻んだ2つのレース
そのときシャダイフライトは、社台グループが導入して間もない種牡馬トニービンの仔を宿していた。あとになればトニービンを受胎した繁殖牝馬が410万円というと俄には信じがたい低価格だと思えるが、その時点でのトニービンはまだ産駒がデビューしておらず、シャダイフライトの18歳という高い年齢もあって注目する人はほとんどいなかった。
同年の4月12日、シャダイフライトは大北牧場で鹿毛の牝馬を産み落とす。斉藤が厩を見に行くとすでに生まれ、自ら立ち上がっていたという仔馬が、のちのノースフライトである。買い手が付かなかったため牧場の名義で走らせることになったその馬の名は、「大北」の「北(ノース)」、母シャダイフライトの「フライト」を繋ぎ合わせて名付けられた。
競走年齢に達したノースフライだが、なかなか調教のペースは上がらず、栗東トレーニングセンターの加藤敬二厩舎へ入ったのは3歳になってからのことで、デビューは1993年の5月までずれこんだ。ところがデビューの未勝利戦(新潟・芝1600m)を走らせてみたところ、2番手から抜け出して独走状態になり、2着に9馬身(1秒5)もの差をつけて圧勝。次走の足立山特別(500万下、小倉・芝1700m)も2着に8馬身(1秒3)差をつけて楽々と連勝を果たし、「遅れてきた大物」と一気に関係者の注目を集めることになる。
3戦目の秋分特別(900万下、阪神・芝2000m)は調整過程で順調さを欠いたことなどもあって5着に敗れる。しかし、牝馬三冠の最終戦として行なわれていたエリザベス女王杯(GⅠ、京都・芝2400m)への出走という目標に向かって賞金を加算したかった陣営は、2クラスもの格上挑戦となる府中牝馬ステークス(GⅢ、東京・芝1600m)へ挑戦すると、高いポテンシャルに加え50㎏という軽量も追い風にして、古馬陣を抑え見事に優勝。一気に牝馬戦線のトップクラスへと踊り出た。
衝撃の2段階格上げでの重賞勝利によってやっと漕ぎつけたエリザベス女王杯挑戦のチャンス。レースには牝馬クラシック二冠のベガも待ち受けていたが、ノースフライトは先団の6番手からという正統派の競馬で直線へ向く。そして、目標のベガを交わして先頭を窺いかけたその刹那、猛然と追い込んできたホクトベガに内をすくわれて、1馬身半差の2着に敗戦。初のGⅠ戦、しかも未経験の2400mという距離を考えれば十分な健闘だったと言えるだろう。
まだ余力があったノースフライトは、年末の阪神牝馬特別(GⅢ、阪神・芝2000m)に出走。1番人気に推されると、2番手からあっさりと抜け出して2着のベストダンシングに1馬身半差をつけて圧勝。前走のGⅠで2着した能力の違いを見せて、一気に成長した1993年を締め括ったのだった。
ノースフライトは北海道・浦河町にある大北(たいほく)牧場だが、母のシャダイフライト(父ヒッティングアウェー)は千葉県を本拠としていた時期の社台ファーム生まれ。18歳という高齢になったことなどから1990年に行なわれた社台グループの繁殖セールに上場され、大北牧場の場主・斎藤敏雄によって410万円で落札された。
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そのときシャダイフライトは、社台グループが導入して間もない種牡馬トニービンの仔を宿していた。あとになればトニービンを受胎した繁殖牝馬が410万円というと俄には信じがたい低価格だと思えるが、その時点でのトニービンはまだ産駒がデビューしておらず、シャダイフライトの18歳という高い年齢もあって注目する人はほとんどいなかった。
同年の4月12日、シャダイフライトは大北牧場で鹿毛の牝馬を産み落とす。斉藤が厩を見に行くとすでに生まれ、自ら立ち上がっていたという仔馬が、のちのノースフライトである。買い手が付かなかったため牧場の名義で走らせることになったその馬の名は、「大北」の「北(ノース)」、母シャダイフライトの「フライト」を繋ぎ合わせて名付けられた。
競走年齢に達したノースフライだが、なかなか調教のペースは上がらず、栗東トレーニングセンターの加藤敬二厩舎へ入ったのは3歳になってからのことで、デビューは1993年の5月までずれこんだ。ところがデビューの未勝利戦(新潟・芝1600m)を走らせてみたところ、2番手から抜け出して独走状態になり、2着に9馬身(1秒5)もの差をつけて圧勝。次走の足立山特別(500万下、小倉・芝1700m)も2着に8馬身(1秒3)差をつけて楽々と連勝を果たし、「遅れてきた大物」と一気に関係者の注目を集めることになる。
3戦目の秋分特別(900万下、阪神・芝2000m)は調整過程で順調さを欠いたことなどもあって5着に敗れる。しかし、牝馬三冠の最終戦として行なわれていたエリザベス女王杯(GⅠ、京都・芝2400m)への出走という目標に向かって賞金を加算したかった陣営は、2クラスもの格上挑戦となる府中牝馬ステークス(GⅢ、東京・芝1600m)へ挑戦すると、高いポテンシャルに加え50㎏という軽量も追い風にして、古馬陣を抑え見事に優勝。一気に牝馬戦線のトップクラスへと踊り出た。
衝撃の2段階格上げでの重賞勝利によってやっと漕ぎつけたエリザベス女王杯挑戦のチャンス。レースには牝馬クラシック二冠のベガも待ち受けていたが、ノースフライトは先団の6番手からという正統派の競馬で直線へ向く。そして、目標のベガを交わして先頭を窺いかけたその刹那、猛然と追い込んできたホクトベガに内をすくわれて、1馬身半差の2着に敗戦。初のGⅠ戦、しかも未経験の2400mという距離を考えれば十分な健闘だったと言えるだろう。
まだ余力があったノースフライトは、年末の阪神牝馬特別(GⅢ、阪神・芝2000m)に出走。1番人気に推されると、2番手からあっさりと抜け出して2着のベストダンシングに1馬身半差をつけて圧勝。前走のGⅠで2着した能力の違いを見せて、一気に成長した1993年を締め括ったのだった。
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