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ゴルフ

たかだか3試合に予選落ちしただけ。世界を見据えて“改造“に踏み切った渋野日向子の決断は間違っていない

山西英希

2020.08.26

全英でのドライビングディスタンスは296・25ヤードとドライバーショットに関しては結果を残した。(C)Getty Images

全英でのドライビングディスタンスは296・25ヤードとドライバーショットに関しては結果を残した。(C)Getty Images

「AIG女子オープン(全英女子オープン)」では、日本人初の海外メジャー連覇どころか、通算12オーバー、105位タイでの予選落ちという苦汁を飲まされた渋野日向子。これで今季は国内外合わせて3戦に出場し、全試合で予選通過に失敗している。

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 昨年の成績がよかっただけに緊急事態ととらえる人もいるだろうし、昨シーズン終了後から取り組み始めたスイング改造や筋力アップを不調の原因だとする声も少なくない。確かに勝負の世界は結果が全てという理論なら、何を言われても仕方がないだろう。しかし、現時点で結果を求めるのは早急過ぎないだろうか。言い方は悪いが、たかだか3試合に予選落ちしただけではないか。

 今一度、なぜ渋野がスイング改造や肉体改造に取り組んだのかを考えてほしい。本来なら来年から米女子ツアーを主戦場とし、海外メジャー5冠を目標に設定していたからだ。そのためには、飛距離と方向性という相反する要素を同時に身につけなければならない。肩幅よりもかなり広めだったスタンスを狭めたのも、右足への体重移動を減らし、よりシンプルなスイングにして再現性を高めることが青木翔コーチの狙いだったからだ。

 当然、体重移動が小さくなれば飛距離は落ちるが、それを補うために肉体改造に取り組んだ。昨年よりも体重が増え、筋力アップに成功したことで、ドライバーの飛距離は10ヤードぐらい伸びたという。実際、全英女子オープンでは、2日間ながらフェアウェイキープ率が75パーセント、ドライビングディスタンスが296・25ヤードだったわけだから、ドライバーショットに関しては結果を残した。
 
 ただ、ドライバーよりも精度の高い方向性と距離感を要求されるアイアンショットはまだ不安定で、パーオン率が50パーセントと低い数字に終わった。渋野自身は「練習場はいい動きができるのに、試合になると自分が思ってもいない動きをしてしまう」と語っていたが、試合になれば当然メンタル面での影響がショットに表れるし、それが距離感に対する不安を生むことになる。試合数が少ないのだから当然の結果だろう。

 メジャーを制したスイングをわざわざ改造する必要がないと思うかもしれないが、昨年、国内女子ツアーでの渋野のドライビングディスタンスは248・21ヤードだった。正直、その飛距離ではメジャー5冠の目標を達成するのはかなり厳しい。

 男子の話になるが、パワーゴルフの流れはここ数年でさらに加速している。ハードな筋力トレーニングを取り入れるのは当たり前で、ひと昔前のゴルファーとは明らかに体型が異なる。実際、PGAツアーのドライビングディスタンスを見ても、5年前は26人しかいなかった300ヤード越えが、今年は70人もいるのだ。さらに、下部ツアーであるコーンフェリーツアーではこの傾向がさらに顕著であり、ツアー全体の平均飛距離が306・7ヤードというから驚きだ。
 

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