今季メジャー第4戦、ＬＰＧＡツアー『全米女子オープン』最終日、2位と1打差の単独首位でスタートした渋野日向子だったが、2バーディ、5ボギーの74とスコアを落とし、通算1アンダーで単独4位に終わった。

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　全盛期のタイガー・ウッズのように圧倒的な強さを持った選手は例外として、メジャーの最終日を首位で迎えた選手がそのまま逃げ切ることは容易ではない。厳しいコースセッティングとの戦いだけでなく、目に見えないプレッシャーや心の葛藤など様々な負の要素を抑え込まなければいけないからだ。今回の渋野も例外ではなかった。「目の前のことにしっかり集中して、やるべきことをやろうと思っていましたが、なかなかうまくいきませんでした」と振り返る。

　いい例が2番パー4での第2打だろう。ティショットを左に曲げた渋野だが、第2打を目の前にあった木の枝に当て、再びラフから打つことになった。本来なら木の枝まで上がらないロフトのクラブを選択するべきだったが、あいまいにしたままアドレスに入ってしまったという。結果的にボギーで収めたものの、3日目までの渋野ならこのような中途半端なクラブ選択をしなかったはずだ。
  　5番パー5でも、第3打がグリーンを大きくオーバーする。これもベアグラウンドからの驚異的な上手さのアプローチでパーセーブしたが、渋野らしからぬショットだったことは言うまでもない。最終日は渋野にしては珍しく喜怒哀楽を表に出していた。自分の感情を抑えられないほどプレッシャーを感じていたのだろう。やはりメジャーで優勝争いを演じることが一筋縄ではいかないことを改めて知らしめた。

　確かに渋野の場合、昨年の『ＡＩＧ全英女子オープン』では最終日を2打リードで迎え、そのまま逃げ切り優勝を飾った経験がある。しかし、当時と現在とではメジャーに対する重さを感じる度合いが比較にならない。いくらメジャーチャンピオンの肩書を自分の中では捨てたとはいえ、単なる挑戦者の立場で戦った『ＡＩＧ全英女子オープン』と、メジャー優勝者として臨んだ今大会とでは、プレッシャーの大きさは違って当り前だろう。むしろその中で大きく崩れず、最後まで優勝争いに絡む粘りを見せたことは評価されるべきではないか。