マラソン・駅伝

【箱根駅伝】“5つのトピックス”で往路の明暗を振り返る!ルーキーの活躍、青学大シード権外…

佐藤俊

2021.01.03

1区を走る選手たち。区間賞は法政大の鎌田航生が手にした。写真:JMPA

 コロナ禍の中で開催された箱根駅伝の往路は創価大の初制覇で終わった。ただ、4区までは、それぞれ制したチームがすべて異なり、入れ替わりの激しいレースになった。

 そこで今回目立った5つのトピックスを挙げてみた。

★1年生の明暗

 今年の箱根駅伝は、レース前、1年生ルーキーたちの活躍が期待されていた。吉居大和(中央大)、三浦龍司(順大)、佐藤一世(青学大)、石原翔太郎(東海大)、児玉真輝(明大)、松山和希(東洋大)たちである。

 ルーキーで実力通りの素晴らしい走りを見せたのが石原だ。3区で区間賞を獲る走りでチームを1位に押し上げた。昨年の全日本大学駅伝でも4区で11位から6位にチームを押し上げるなど、駅伝力の強さを見せつており、来年はエース区間の走りが期待できる。

 また、佐藤も4区4位と1年生として上々の走りを見せ、松山も2区4位と1年生と思えないタフさをのぞかせた。昨年、東洋大は往路11位に沈み、総合では10位とシード権ギリギリで生き残った。だが、今年は松山の走りで勢いに乗り、5区の上り職人・宮下隼人につなぎ、往路2位と躍進に成功した。

 逆に、力を発揮できなかったのは、前評判の高かった三浦だ。1区、先頭集団の中で走っていたが、ラストスパートについていけず、10位に終わった。また吉居もチームが下位に沈む中、必死に走ったが15位に終わった。児玉も1区16位に終わり、結果を出すことができなかった。

 今年は、ルーキーたちを含め良いタイムを持っている学生が増えたが、それを本当の厳しいレースで生かせているのは、まだほんの一握りの選手しかいない。
 
★法政大、21年ぶりの快挙

 1区21.3キロは、いろんなドラマがあった。まずスタートだが、異常ともいえるスローペースでレースが始まった。1キロのペースは、3分33秒。テレビ画面を見ている人も明らかに遅いとわかるほどのスローペース。彼らからするとちょっと早いジョグ程度の感覚だろう。

 だが、1キロ手前で塩澤稀夕(東海大)が前に出て、ペースを上げた。ところがそれでもペースが上がり切らない。先頭集団は異例の大所帯となり、団子レースになった。その中で、鎌田航生(法政大)が集団の中盤より前に位置し、チラチラと集団の選手の表情を確認しながらレースを展開する。そして、18.60キロ過ぎて鎌田が前に出る。すると塩澤と井川龍人(早稲田大)が鎌田についていく。一度は塩澤が前を行くのを許すが、残り1キロを切ると鎌田が猛烈なスパート。ほとんど呼吸が乱れず、表情も変わらない。余裕のまま「気持ちよく走れました」とトップで2区に繋げた。法政大が区間賞を獲ったのは21年ぶりになる。