専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
モータースポーツ

「一緒に走りたかった」「誇りに思う」角田裕毅とガスリーを繋ぐ、今は亡き有望ドライバーへの想い

THE DIGEST編集部

2021.01.06

ガスリー(左)、角田(右)ともに、ユベールには特別な感情を抱いているようだ。(C)Getty Images

ガスリー(左)、角田(右)ともに、ユベールには特別な感情を抱いているようだ。(C)Getty Images

 今季、アルファタウリからF1デビューする角田裕毅。2016年のフォーミュラレース初参戦から驚くほど短期間で最高峰の舞台に到達し、日本人10人目のフルタイムドライバーとなった20歳は、世界中から大きな注目と期待を集めている。

 そんなルーキーが、チームメイトとして切磋琢磨しながら、最も身近なライバルとして鎬を削ることになるのが、24歳のピエール・ガスリーだ。昨季、イタリアGPで初優勝を飾ったフランス人は、角田にとって自身の力や可能性を計るための格好の指標ともなるだろう。

 今季、よりいっそうの飛躍を遂げたいアルファタウリが、多くのポイント獲得の期待をかける日仏ドライバーコンビ。「どんなドライバーかは分からない」(角田)、「あまり喋ったことがない」(ガスリー)と互いのことを語るなど、あまり接点がないように見える2人だが、ひとりの人物の存在が彼らを繋いでいる。
 
 それが、今は亡きフランス人ドライバー、アントワーヌ(アンソニー)・ユベールだ。GP3(現F3)を制し、F2でもルーキーとして最多勝利を挙げ、未来のF1ドライバーとしても期待されていた彼は、しかし2019年8月31日、スパ・フランコルシャンでの凄惨なクラッシュにより、わずか22歳でその短い人生に幕を閉じた。

 そのキャリアに敬意を表する意味で、FIAは最も多くのポイントを獲得したドライバーに贈られる個人賞に彼の名を冠することを決定したが、2020年の受賞者となったのが、角田だった。

 彼はユベールについて、オンラインでの会見時に「一度は一緒に走りたいと思っていたので、亡くなってしまったことは本当に衝撃だった。そんな人から賞を受け取ることができたのは、本当に名誉なこと」と、尊敬の念と喪失感を口にしていた。

 一方のガスリーにとって、ユベールは非常に大切な存在だった。同国人の良き友人であり、かつてのルームメイトでもあったからだ。「今でも他のドライバーたちが、アントワーヌからインスパイアされているのだとしたら、彼はとても誇りに思っているだろう。もちろん、僕も」と語っている(オランダのF1専門メディア『GPFans.com』より)。

「アントワーヌがもういないと知りながら、彼のことを話すのは奇妙な感じだ」というガスリーだが、新しいチームメイトが、亡き親友から影響を受けていたということについて、「ユウキの言葉はとても素晴らしい」と喜んでいる。

 この2人の共闘が彼らに、そしてアルファタウリに何をもたらすか。天国のユベールも楽しみにしているかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号