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「満足すれば、そこで成長は止まってしまう」変わり続ける道を選ぶ、パナソニック・清水邦広の矜持

北野正樹

2021.01.11

今年35歳を迎える清水だが、バレーに対する向上心と競技を盛り上げたいという思いはとどまることがない。写真:北野正樹

今年35歳を迎える清水だが、バレーに対する向上心と競技を盛り上げたいという思いはとどまることがない。写真:北野正樹

 バレーボールの日本代表元主将で、右膝の大けがから復活したパナソニックのエース・清水邦広(34)が、東京五輪での代表を目指し今シーズンのV1リーグで躍動している。アタック決定率7位、サーブ効果率は西田有志(ジェイテクト)に次ぐ2位で、11勝3敗で名古屋に次ぐ2位のパナソニックをけん引している。

 海外リーグで力をつけた石川祐希(イタリアセリエA・ミラノ)や柳田将洋(サントリー)に加え、若きエース西田の台頭で、一昨年のワールドカップ(W杯)では大会初の8勝を挙げ4位につけた「龍神NIPPON」だが、代表登録メンバー27人のうち、五輪経験者は清水と、パナソニックからレンタル移籍されフランスのプロリーグでプレーをする福沢達哉の2人だけ。求められるのは、当時、38歳で主将として2008年北京五輪に導いた荻野正二(サントリー・アンバサダー)のチームリーダーとしての役割だろう。20歳で代表入り後、愛称の「ゴリ」に似合わず、シャイで言葉を選びながら話す姿が印象的だった若きエース。しかし、結婚・離婚や選手生命を絶たれるほどの大怪我を経て代表に復帰した今、SNSなどで3枚目を演じて笑いを取ってファンとバレーの距離を縮めようとするなど、その姿は大きく変わった。「批判は覚悟。少しでもバレーに興味を持ってもらうようにするのが僕の務め」と言い切る清水に、秘めたる覚悟をにじませる。
 
 昨年10月5日、リモートで行なわれたV1リーグ男子の開幕前記者会見に先立って開催されたファンを対象としたイベントで、清水が新しい姿を披露した。10チームの7番目に主将の深津英臣と登場した清水は開口一番、「待ちくたびれた」と笑いを誘い、以後は、髪の毛の薄い深津の頭をいじって他チームの選手らの爆笑を取るなど、出席したどのチームより目立ってパナソニックをアピールした。

 記者会見では、もちろんおふざけはなく報道陣の質問に真面目に答えていたが、イベントでの姿と180度違う立ち居振る舞いは、清水の大きな変化を感じさせるものだった。
 
 なぜ、清水は変わったのか。昨年、本拠地・パナソニックアリーナ(大阪府枚方市)で、ぶつけてみた。清水は「ああいうファンの前や公共の場でのイベントでは、堅苦しくなると『面白くない』という人が出てきてしまう。少しでも面白くすることで興味を持ってもらえる。『あのチーム、面白いじゃん』と興味を持ってもらうのも一つの手かな(と思った)。メディアの中では個性を出しながら、個々の選手の魅力を伝えるのも一つの手だと思う」と、バレーやチームに関心を持ってもらうための手段であることを説明した。
 

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