マラソン・駅伝

【瀬古利彦リーダーの目】箱根ランナーに“4つの喝”!世界を目指す選手がとるべき行動とは?

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.01.31

早稲田大時代4年連続花の2区を走った、瀬古氏。五輪も2大会連続出場した。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 駒澤大が最終10区で3分19秒差をひっくり返す劇的勝利で幕を閉じた、箱根駅伝。日本陸上競技連盟のマラソン強化・戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏が、同大会を振り返り、気になった点を語ってくれた。将来有望な選手に"4つの喝"を入れた瀬古氏の言葉を紹介しよう。

1:超スローペースだった1区について
「世界を見据えて1区を走るんだったら、最初からどーんと行ってほしい」


 いろんな大学の戦略だから、私がああだこうだ言う問題でもないけど、世界を見据えて1区を走るんだったら、最初からどーんと行ってほしい。大迫傑選手(元早稲田大)や、佐藤悠基選手(元東海大)みたいに世界を目指した選手はみんな(最初から)いっている。だからこんなことやっていたら、世界の一番にはなれないな…。そこが寂しい所だね。

2:下馬評が高かった各大学のエースの不発について
「世界を目指すなら、両方走らなければいけない」


 12月4日の日本選手権で力を使い果たしたので、その後あまり練習してないと思う。でも私は、それではダメだと思っている。これからは世界を目指すなら、両方走らなければいけない。やっぱり世界を目指すにはトラックでドーンと(記録を)出して、区間新記録とは言わないけど、それに近いぐらいの、記録で走るぐらいの力をためないと、世界には追いつかないと私は思う。

3:選手が走り終わった後に倒れ込む姿について
「20キロ走って倒れるぐらいしか練習してないのか」


 20キロぐらいでヘタって、運ばれるような選手にはなってほしくないよね。20キロ走って倒れるぐらいしか練習してないのかな?って思ってしまう。頑張ったーって周りにアピール。あれはしてほしくないね…。
 
4:メディアが大々的に取り上げることについて
「世界の何とかって言われるようにならないと」


 宣伝してくれて、本当に有難い。ただ、選手は勘違いしちゃいけない。調子に乗って『俺は山の神だから凄い』とかって思うのは言語道断。やっぱりオリンピックの代表になって、世界の何とかって言われるようにならないといけない。箱根駅伝で周囲にちやほやされているのは、本当の力とは違うよってことを理解して気を引き締めてほしいね。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部) 

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