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【生島淳が見たアスリート】世界記録に迫る!“平泳ぎの新鋭”佐藤翔馬の伸びしろ。五輪代表候補へ急浮上

生島淳

2021.02.09

『ジャパンオープン』200m平泳ぎで世界新記録に迫るペースで泳いだ、佐藤翔馬。写真:産経新聞社

『ジャパンオープン』200m平泳ぎで世界新記録に迫るペースで泳いだ、佐藤翔馬。写真:産経新聞社

 残り50m、ドキドキした。

 競泳のジャパンオープンは、池江璃花子の50m自由形での2位表彰台、個人メドレーでは萩野公介、瀬戸大也の対決に注目が集まったが、レース内容でいえば、男子200m平泳ぎがダントツに面白かった。

 対決の主役となったのは、昨年から「昇竜」とも呼ぶべき成長を見せる佐藤翔馬(東京SC/慶應義塾大学)と、日本記録保持者の渡辺一平(TOYOTA)だった。このふたりの競り合いは、まさに世界レベルの争いだった。

 レースは、まず渡辺が先行する。100mのラップは1分01秒05で、チュプコフ(ロシア)が2019年の世界水泳でマークした世界記録の途中計時を1秒17も上回っていた。この渡辺の積極策に対し、佐藤も僅差で続く。

 ここからの佐藤が強かった。

 佐藤は100m過ぎから冷静に追い上げ、150mのターンでは渡辺を逆転。この時点でも世界記録の途中計時を上回っており、記録更新の期待が高まった。最後の50mでもふたりのデッドヒートは続いたが、佐藤がラスト25mで渡辺を引き離し、先頭でゴール板にタッチ。

 記録は2分06秒74。

 渡辺が持つ日本記録には0秒07及ばなかったものの、この記録だけではなく、チュプコフの持つ世界記録2分06秒12を射程に入れる泳ぎだったと言える。そしてまた、オリンピック、世界水泳など国際舞台での経験豊富な渡辺に競り勝ったことにも価値があった。
 
 佐藤の成長ぶりを見ていると無限の可能性を感じるだけでなく、最大の強みはその「伸びしろ」にあると思う。

 彼の成長ぶりを示す「自己ベスト遍歴」が、彼のツイッターに載っている。

11歳 2:47.55  初めて出た2ブレ 
12歳 2:47.95  1年ベスト出てないの
13歳 2:29.11  これ見て驚いた
14歳 2:18.34  全中4位
15歳 2:17.50  1年ぶりのベスト
16歳 2:14.79  JO後の遊び大会で
17歳 2:13.22  ジュニアパンパシ代表
18歳 2:09.21  世界ジュニア新記録

 彼がグンと成長したのは中学3年の14歳の時で、全中で10秒以上自己ベストを更新。そして17歳でジュニアの代表に選ばれ、大学1年になって2分9秒台に突入する

 そして、2021年2月8日が彼の二十歳の誕生日だが、19歳最後の日に、佐藤は2分06秒74の自己ベストを出したことになり、コロナ禍のこの1年間で、2秒45も自己ベストを更新したのである。
 

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