ラグビー

いきなり21得点と奮迅の活躍! 司令塔バレットがTLデビュー戦で誇示した“格の違い”

吉田治良

2021.02.21

デビュー戦で21得点をマークしたバレット。圧倒的な存在感を見せつけた。写真:徳原隆元

 新型コロナウイルスの影響で1か月遅れの開幕となったラグビートップリーグ(TL)。2月21日、相模原ギオンスタジアムで行なわれた開幕戦で、優勝候補の一角、サントリー・サンゴリアスが、三菱重工相模原ダイナボアーズを相手に大量11トライを奪う華々しいスタートを切った。

 この日、最大の注目は、今季サントリーに加わった新戦力、ニュージーランド代表のSOボーデン・バレットだった。

 開始2分、2019年ラグビーワールドカップでも世界最高峰のプレーを見せたバレットの正確なタッチキックで陣地を挽回すると、ラインアウトからモールで押し込み、CTB中村亮土、CTBサム・ケレビとつないで、サントリーが瞬く間に先制トライを奪う。

 コンバージョンキックでTL初得点を挙げたバレットは、さらにその3分後にも見せ場を作る。連続攻撃でSH流大からパスを受けて中央を突破。相手のタックルを受けながら華麗なオフロードパスで中村亮へつなぐと、最後はフリーの流が悠々とインゴールを駆け抜けた。

 11分に三菱重工にトライを返されたサントリーだが、その2分後にはキックオフからWTBテビタ・リーがノーホイッスルトライをお返しし、主導権を譲らない。
 
 着々とトライを重ねて三菱重工を突き放すサントリー。そして迎えた前半ロスタイム、バレットにTL初トライが生まれる。

 相手ゴール前のラックからCTB中村亮がパスを出すと、これを受けたバレットが軽やかなステップで相手をかわし、ゴール中央に飛び込んだのだ。

 16年、17年と二度のワールドラグビー年間最優秀選手賞に輝いたスーパースターは、初めて立ったTLのピッチでも、まったく気負うことなく、いかにも自然体でサントリーの攻撃をリード。三菱重工で同じく10番を背負ったニュージーランド代表のコリン・スレイドが、球離れの悪さからリズムを生み出せなかったのとは対照的に、バレットは個人プレーに走ることなく、周りの選手を巧みに活用した。

 試合中も、流、中村亮らと積極的にコミュニケーションを取っていたバレット。この日5トライと大暴れしたWTBテビタ・リー、自慢の馬力を見せつけたペネトレイターのサム・ケレビ、早稲田大卒のルーキーでこれがTLデビューとなった中野将伍らを擁する豪華BK陣を、見事にまとめ上げていた。
 
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評判通りのオールラウンダーぶりを発揮